草の根技術協力事業 インドネシア「教科『環境』の教材開発と教員の再教育支援プロジェクト」モニタリング調査団報告

2014年12月8日

調査団のメンバー

IEFPのミーティング

JICA北陸は2014年1月より、富山市の国際NGOインドネシア教育振興会とともに、草の根技術協力事業インドネシア国「教科『環境』の教材開発と教員の再教育支援プロジェクト」を実施しています。このJICA草の根技術協力事業はNGO、大学、地方自治体、公益法人などが培ってきた経験や技術を生かし、途上国の人々の生活に役立つ協力活動をJICAが支援する事業です。

インドネシア教育振興会(IEFP)は、約10年前に富山大学の教員・学生・留学生が中心となり活動を開始しました。当初は鉛筆の寄贈から始まった協力活動ですが、4年前にインドネシアの南タンゲラン市に現地教育法人を設立し、低所得者居住地域に「ひかり小学校」の運営を開始しました。その過程で南タンゲラン市役所との協力関係を構築し、本年1月から市が課題としている環境教育への支援を目的に、草の根技術協力事業として開始しました。プロジェクトは市内の小学校30校を対象に教科「環境」を導入することを目指し、環境教科書作成や教員研修を実施します。

インドネシアへ調査団を派遣

モデル校を訪問

教育局にて

JICA北陸は、このプロジェクトの進捗と今後の計画を確認するため、本年10月30日から11月5日の日程でモニタリング調査団を派遣しました。
この調査ではまず10月上旬に富山で実施した、教科「環境」の教科書作成の研修員(10名)のフォローアップ研修を見学しました。参加者から日本の環境教育の教科書(社会科)の分析結果が報告されるとともに、富山研修の振り返りと参加者間の共有が行われました。その後、環境教育モデル小学校に選定された30校のうち2校を訪問し環境教育の現状を視察しました。また南タンゲラン市教育局長や環境局長を訪問し、プロジェクトの現状と課題の聞き取りを行いました。

教育局長のマトダ氏によると、南タンゲラン市のなかで環境問題は4つの優先課題の1つであり、教育局としても教科「環境」導入を積極的に進めているそうです。マトダ氏は、インドネシア教育振興会の活動を高く評価するとともに、教育局スタッフが富山での研修に参加したことで、日本の環境問題への対応と環境教育の現状の理解につながり、今後の教科「環境」の導入に大きく前進すると考えていました。

モニタリング調査を通して

フォローアップ研修

モデル校の子どもたち

このモニタリング調査の結果として、このプロジェクトはインドネシア教育振興会と南タンゲラン市との長年の協力信頼関係の上に設計され、実施体制が非常に強固であることが確認できました。日本・インドネシア両国の専門家が積極的に参加し、プロジェクトが順調に進捗していることも確認できました。またインドネシア教育振興会と南タンゲラン市側の役割分担が明確なことも、調査団として好印象を持ちました。

インドネシア教育振興会がモデル校30校4年生への試験的導入を進める一方、教育局側では市全体300校全学年での導入を目指し、両者の責任が明確なことで今後の持続性の見込みも高いと考えます。今後は教員研修をいかに効果的に実施し、各モデル学校でいかに質の高い教科「環境」を導入するかが鍵になるでしょう。

10年前、鉛筆の寄贈から始まったインドネシア教育振興会の活動が、関係者の努力と熱意のもと着実に進展し、JICA草の根技術協力事業を活用してさらに前進しています。市民参加による国際協力を支援しているJICA北陸としても、今後が楽しみなプロジェクトとなりました。