JICA北陸 2019年度 教師海外研修 活動報告!

2019年12月19日

JICA北陸では、開発途上国での実体験研修プログラムを通し学んだ内容を、直接学校の教育現場に還元して頂く「教師海外研修」を毎年学校教員の方々向けに実施しています。日本全体でグローバル化が急速に進む中、北陸でも外国の方達、外国にルーツを持つ子供達が増えています。本プログラムは生徒達が子供の頃から異文化や世界に存在する問題・課題への理解を深めることが出来る様、子供達との距離が近い学校教員の方々に日本では経験出来ない異文化・途上国体験を提供し、グローバルな知識や経験を積むことが出来るようにしています。昨年度に引続き、今年度も大洋州にある島国サモアを訪問しました!サモアはラグビーワールドカップにも出場していましたね!早速、現在までの活動を報告します。

<事前研修 2019年6月22日、7月20日の2日間>

【画像】出発前は2回の事前研修が行われ(今年は6/22 & 7/20)、途上国の現状や日本が行っている国際協力、持続可能な開発目標(SDGs)、未経験者でも出来る国際理解授業の作り方などについて学びました。サモアの小学校で教育のボランティア活動を行った元青年海外協力隊員による体験談や過年度参加者との交流もありましたよ!教員という本業が本当にお忙しい中、皆さん本当に熱心に取り組んで下さいました。現地研修がより充実した時間になるよう、必要な知識と情報を得た充実した2日間となりました。

<現地研修 2019年8月11日~8月21日>

サモアでは、途上国の現状、国際協力の実態・形態、国の発展の在り方を多面的に学べるよう、サモアの小学校、中高等学校、教育省、日本企業が建設している橋の現場など様々な場所を訪問し勉強しました。サモアの人達の生の声や生活、文化も体験・理解出来る様、1泊2日のホームステイや青年海外協力隊が活動している現場視察、博物館訪問も行いました。

時間の流れがゆっくりで日本の忙しさとは別世界に見えるサモア。人口約20万人の小さい島国だけれども平和で自然豊かな国。人と人とのつながりが強く、おおらかな人々。サモアならではの魅力や幸せが沢山ある一方で、近代化と共に処理しきれなくなったごみの問題や産業が乏しい為に頭脳流出が激しいことなど、様々な問題・課題を抱えていることも学びました。

日本には日本の問題がある中で、サモアにはサモアの問題があり、どの様にこれらのことに対処していったらいいのか教員の皆さんはそれぞれに考えを巡らせ、そして何を子供達に伝えるべきかを一生懸命考えて下さいました。

<事後研修 2019年9月7日>

【画像】サモアから帰国後、9/7には事後研修が行われました。先生方にはどの様な授業展開にするか指導案を提出して頂き、参加者皆で内容を検討し合いました。サモアでの経験に関する考察を発表して頂く時間もあったのですが、同じ経験を積んでいても意見は様々でした!お互いの意見を共有することの意義を改めて感じました。今年度は海外へ行ったことのない教員も国際理解教育を実践したことがない教員も実践することが出来る様に、汎用性を持たせた授業を行う取り組みを行っています。先生方の授業で子供達がどの様に変わっていくのか。楽しみです。

午後からは外国にルーツを持つ子供達を取巻く状況を理解する為、「異文化理解・多文化共生」のセミナーを開催しました。北陸には今日本語のサポートを必要とする児童・生徒数が631人もいることや、日本語を聞き取り話せても教科を学習する読み書きは必要になる言語レベルが違うためクラスでの学習には困難を感じていること、外国籍児童のサポートに入れる教員が圧倒的に足りていないことなどを学びました。この様な状況を知った上で、一人でも多くの外国籍児童が自分らしく学校生活を送れるよう、“現場教員が手一杯であれば、地域にいるボランティアを動員したらどうか?”など様々な提案が出されました。教室に外国にルーツを持つ子供がいることはもはや人ごとではなくなっている今日。今日の学びが教員や教員を目指す学生を通して少しでも学校現場に生かされますように。

<実践授業 2019年10月~12月>

事後研修の後、10月から12月にかけて8名の先生方が、次代を担う子供達がグローバルな視野や考え方を身に付けられるよう、学校で国際理解授業を実践して下さいました。国際理解教育の担当者として全部の授業を見に行かせて頂きました!(小・中・高・特別支援学校、それぞれ2名ずつ)世界に存在する問題・課題を題材に探求的な学習を行ったり、自分にも出来る国際協力を考えたり、国の発展や国際協力の在り方を深く議論する学校も。

福井県の小学校では、外国にルーツを持つ子供が感じている言語の不自由さを実際に読めない外国語や聞いても分からない外国語を使って体験し、実際に教室にその様な友達がいたらどうやって関わるかをディスカッション。たった少しの時間や機会で子供の世界や視野、考えが大きく広がっていくことを毎回実感しました。北陸もグローバル化がどんどん進み、外国の人々や世界の課題は自分に関係がないことではもはやなくなっています。オフィシャルな教科としては存在しない「国際理解教育」を学校教育の中に一生懸命位置付けて取り組んで下さった先生方!本当にありがとうございました&お疲れ様でした!

もっと沢山の方達に、先生方の素晴らしい授業を知って欲しい、先生方が作った皆さんにも使って頂ける指導案や教材を紹介したい!という想いから来年3月7日の午後からJICA北陸で「教師海外研修 報告会」を開催します。是非、先生方の活躍を見に来て下さいね!