ボツワナの環境保護NGOで働く
私は現在、アフリカの南部に位置するボツワナ共和国の首都であるハボロネという所に青年海外協力隊として派遣されていて、環境保護に取り組むNGOで働いています。
アフリカというと、貧困や内戦のイメージが強いかもしれませんが、2016年で独立50周年を迎えるボツワナは、独立以来、内戦や紛争は一度も経験していません。また独立直後に発見された広大なダイヤモンド鉱山が国の経済を支えており、「アフリカの優等生」という異名を取るほど、経済的・政治的に安定した国家です。
一方で、国の収入の多くをダイヤモンドに頼っていることから、産業の多角化が喫緊の課題です。また、国が豊かになったことで消費が増え、ごみも増えてきているのですが、処理の方法は「分別なしの埋め立てのみ」です。
そこで、私の配属先であるNGOでは、市民の自発的な行動による環境保護を活発化させるため、リサイクルを推進しています。とはいえ、ボツワナ国内には自前のリサイクル施設がないため、空き缶、空き瓶の回収所を設け、集めた缶・瓶を隣国である南アフリカ共和国まで運んでリサイクル業者に買い取ってもらい、その収益をNGOの運営に充てています。
しかしながら、配属先では、会計の管理など、組織の運営に問題を抱えており、あまり効率的な活動ができていません。特にNGOにとって会計は、助成金、寄付金の獲得などにもかかわる非常に重要なポイントです。また、助成金によってプロジェクトを運営することが多いため、「助成金の給付期間が終了したのち、どのように事業を継続させていくか」ということも課題となっています。
そうした課題を解決するため、私は現在、現地のスタッフと協働しながら、会計記録の整備と、漏れのない記録を作るための仕組みづくりをサポート。さらに、大口の資金援助に頼らず小口の支援や自前で収入を生み出せるよう、広報活動にも取り組んでいます。
NGOは、最小の資源と人員で事業を回しているため、派遣されるボランティアは、不足しているマンパワーを埋めることに傾倒してしまいがちな側面もあります。私の場合は、当初から貴重な戦力として明確な役割を与えられていたのですが、それでもはじめの一年ほどは、私の帰国後に取り組みが継続される見通しも立たない日々でした。
でも、最近になってようやく、「取り組みの継続」に向けて、同僚と話し合いをする機会が得られるようになりました。また、資金源となる空き缶、瓶の回収を増やせるよう、配属先の活動を知ってもらうための広報媒体作成や、収入を増やすことにこだわるのではなく、不要な支出を減らすオフィスでの経費削減活動など「団体の取り組みを持続可能な形で発展させたい」との私の思いもかない始めています。

ボツワナの伝統的な建築様式を取り入れたオフィスは、夏でも涼しい

瓶の集積場での仕分け作業

アルミとスチールの缶を、ものすごい速さで仕分けていきます