ボツワナチョベマラソン大会、実現までの道
私がシニアボランティアとしてアフリカ南部の国、ボツワナの公務員大学に講師として派遣されたのは約2年前のことです。半年ほどの試行錯誤の後、どうにか3日間の研修を立ち上げ、これまで30回、600人ほどの公務員を対象に実施してきました。
今年になって「教室外でも何かこの国に貢献できることがないか」と考えて、趣味であるマラソン大会の主催を思いつきました。ボツワナに派遣されてからも任国外旅行などを利用して、ボツワナの首都ハボロネをはじめ、キリマンジャロ、英シェークスピア、モーリシャス、ケープタウン、など各国のマラソン大会に参加してきました。ボツワナでのマラソン大会を開催できたら、きっとさまざまな素敵な出会いの機会になると考えたのです。
さて、「マラソン大会を主催する」と言っても何をしていいかわかりません。
まずは、地元のイベント主催会社からの見積もりに基づき試算すると、ざっと200万円ぐらいの予算が必要だということがわかり、寄付を募り資金の半分を調達することにしました。
そして、2月19日、3ヵ月で100万円へのチャレンジがスタートしたのです。
同期のデザインを専門とする隊員にチラシを作成してもらい、首都ハボロネ市内で配って回りました。ショッピングモールや、官庁街、大学などの掲示板、また、トヨタ、日産、コマツなどの日本法人やボツワナの現地法人の広報担当者に飛び込み営業をして回りました。
一方、日本でも、編集社に勤務している大学の先輩に日本語版のチラシを作成してもらい、日本各地のマラソン大会で配布してもらうことにしました。3月から5月にかけて実施されるマラソン大会の主催者にお願いし、北海道から沖縄まで約20の大会で計1万部を配布してもらいました。
さらに、今回、別のボランティアが取り組んでいる貧困撲滅プロジェクト「ギフト・フロム・ボツワナ」と協力し、寄付をしてくれた方へのお礼として、貧困地域の女性が作成したクラフト商品を差し上げることにしました。
しかし、100万円への道は簡単ではありませんでした。インターネットを介しSNSなどで頻繁に活動報告をしてみたものの、4月に入っても目標の半分にも達しません。このころには私の6月末の帰国が決定したのに加え、当地の体育協会や国立公園管理局からの許可申請も滞っていました。マラソンで言えば30キロを超えて「もう歩きたい・・・」という心境です。
この状況が急展開したのは、デッドラインの数時間前でした。出張先で研修をしていた私は、その日の朝まで諦めていました。研修終了後、宿泊先に戻ってメールを開いて自分の目を疑いました。なんと、目標金額に達しているではありませんか!
寄付をしてくれた方への「ギフト・フロム・ボツワナのクラフト商品」送付も終わり、これからは、お金ではなくランナーを集めなければなりません。
日本からもぜひ、穏やかで優しくいつも笑顔のボツワナの人たち、そしてたくさんの野生動物たちに会いに来てほしいです。
(関連リンク)
Chobe Marathon Facebook Page(外部サイト)

研修後に受講生と

キリマンジャロマラソン・スタート直前

英語版・日本語版のチラシ

ボツワナの貧困撲滅プロジェクトとのコラボ

寄付額の推移

チョベ国立公園(写真提供:伊藤洋美)