住民とともに−安全な水アクセスの確保をめざして−

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ブルキナファソで、「水の防衛隊」(注)として、水や井戸の維持管理に関する啓発活動を行っています。首都から東に約110キロ離れたガンズルグ県ゾルゴ市という小さな町が私の生活と活動の拠点です。

ブルキナファソでは、住民の多くが生活用水を井戸に頼っており、ゾルゴ市も住民の8割弱が井戸から水を得ています。恵まれたことに、JICAや他の援助機関からの支援で、ほぼすべての住民が、安全な水といわれる深井戸から水を得ることができます。しかし水の運搬や保管方法に問題があり、必ずしも衛生上安全な状態で飲んでいるわけではないのが現状です。また井戸が適切に維持管理できておらず、せっかくの深井戸が利用できない状態の所もあります。

安全な水へのアクセス確保のためには、まずは井戸の維持管理が重要です。2010年2月に、井戸の維持管理を担う「水利用者組合」という組織が導入され、維持管理がそれまでの井戸単位から、村単位になりました。水利用者組合は、水利用料金を徴収し、それを資金源に井戸の維持管理を行います。しかし、制度についての住民の理解不足や、村によっては、もともと地区間で紛争が存在していた所もあり、料金徴収がうまくいきません。そのため故障時に対応できず、井戸が放置されるケースがあります。こういった状況をなくすため、私は配属先の水・水利・衛生省の同僚や市役所の担当者と村を巡回し、水利用者組合事務局や住民との話し合いの場を設けています。そこで課題を把握し、解決に向けて啓発などを行っています。

また衛生状態を良くするために、村の診療所や学校で、子どもや母親を対象に、水衛生に関する啓発活動を、学校の先生、村の衛生啓発を実施するボランティア、看護師らとともに展開しています。水の適切な運搬・保管方法、正しい手洗いや衛生的なトイレの維持管理、その必要性などを指導しています。

こうした衛生啓発を誰が担うのか——。実はこれが明確ではなく、関係者がばらばらに動いているため、全体として啓発がうまく機能していません。衛生啓発にかかわるさまざまな関係者(教育委員会、教員、市役所、配属先、同僚など)が、継続して自発的に動きながら、啓発が有機的に結びつくように働きかけています。

劇的な状況変化を見ることは難しいですが、ブルキナファソの人たちの手で啓発が持続的に行われるようになり、地域住民を取り巻く衛生環境が改善されることが、活動の目標です。いつも私を元気づけてくれる地域の人たちのより良い暮らしのために、今日も元気に村に行ってきます。

(注)2008年第4回アフリカ開発会議開会式で、当時の福田康夫首相が発表した構想。安全な水を安定的に供給することができないアフリカ諸国などに、日本の専門家などを派遣して、より多くの人々が生活水を安定的に入手できるようすることを目的とするもの。地下水掘削、ポンプ技術、配水管管理などの分野に関し、青年海外協力隊、シニア海外ボランティアなどを派遣している。

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主要民族モシ族の伝統的な家。中心に台所がある

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村の井戸の様子。ポリタンクに水を入れて運ぶ

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ポリタンクの中は苔が生えている場合がほとんど


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水の運搬は子どもと女性の仕事。器用に頭で運んでいる

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学校で絵を使って衛生啓発(左奥が筆者)

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同僚、市役所の担当者と水利用者組合を訪問


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