ハンドポンプから見える村の風景-カメルーン、国際協力の現場から

Twitter Facebook はてなブックマーク メール

私はカメルーンの首都ヤウンデから車で1時間のアワエという村で活動している。「青年海外協力隊=井戸掘り」というイメージを地で行くように、「村の給水施設の向上」「ハンドポンプ管理組合の強化」が私の仕事だ。

協力隊員として赴任する前に開発にかかわる仕事をし、アフリカの多くの国が水で困っていることを知った。一般的に、水くみは時間がかかり重労働であるが、女性や子ども、特に女の子の仕事とみなされている。何度も開発プロジェクトの書類を読み作成するうちに、「毎日水くみする生活はどんな生活なんだろう」と思っていた。そして今、協力隊員として、上下水道のない、水くみ生活をしている。

まず、手押し式のポンプが付いた井戸「ハンドポンプ」(自宅から徒歩5分)には常に鍵がかけられていて、朝・夕の指定の時間しか開かない。つまり1日のスケジュールが水くみ中心に組み立てられる。私の場合、一度に持てる水は10リットルのバケツに5リットル程度。だから毎日水くみをする必要がある。

正直、しんどい。

最初、蛇口をひねっても水が出ない家に住むのは精神的につらかった。乾期で周囲の井戸が干上がるのを見るとパニックになった。

一方で、自分のバケツが水で一杯になるのを見ると、心が落ち着いた。水をくむのに何人も並んでいて、自分の番が来るまで2時間かかったことも、水の貴重さに拍車をかけた。

同時に、ちょっとずつだが水くみを通して村の様子が見えてきた。まず、水くみは女の子の仕事には変わりないが、男の子も女の子と同じぐらい水くみをしている。また、10パーセントぐらいは大人がいて、大人の男性が積極的にハンドポンプのハンドルを上下し、くんだ水を運ぶ。女の子や女性がハンドルを上下していると、男性が「遅いから替われ」と言い方はぶっきらぼうだが、率先してハンドルを動かしている。

実際にやってみてわかったのは、ポンプのハンドルが非常に重いこと。順番待ちの長い列では、遊ぶ子どもや、世間話をしている人もいる。のどかに聞こえるかもしれないが、実際は、のどかな風景ではない。順番を守らない人もいるし、ハンドポンプの周りはごみが散らかっている。

水くみを主に担うのは子どもだが、子どもは水管理組合のメンバーにはならない。毎日水くみをしてハンドポンプの状態や水くみの大変さを見ているのに。子どもから「たくさんハンドポンプを作って」と言われたことはないが、村の大人からはよく「ハンドポンプをたくさん作って」と言われる。

毎日ハンドポンプで水をくみ、村を巡回してわかったことは、住民の多くが、農薬が混じって濁った水たまりで水くみをしていて、ハンドポンプで水くみできるのは恵まれているということである。

水は大切だ。

そして外国人である私は乾期で村の全ての井戸が枯れても、村にあるミネラルウオーターを買うという最終手段がある。しかし、貧しい住民にはない。

井戸・ハンドポンプをたくさん作れば住民の生活はよりよくなるのだろうか。ただ単に井戸の使用方法や、水を入れたバケツ、ポリタンクの運搬方法を改善するだけでも、生活はよりよくなるのではないだろうか・・・。

ぐるぐる回る頭で今日も私は村人と一緒にハンドポンプに列をなしながら、「井戸=国際協力」について考えている。

【写真】

村にあるハンドポンプ

【写真】

いつも行くハンドポンプの行列。混雑時はこの2倍の長さになる

【写真】

ハンドポンプの水。炊事やお風呂に使う


【写真】

ハンドポンプのない村での水くみ

Twitter Facebook はてなブックマーク メール