教育の遠い首都 −ジブチでの難民支援の現場から(2)

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私は配属先であるNGO「ルーテル世界連盟(LWF)」の事業の一環として、首都ジブチ市に住む難民児童を対象にした教室を開講する準備を進めている。難民という立場ゆえに学校に通えない子どもたちや就学前の子どもたちに対して、情操教育や基礎学習の機会を提供するのが目的だ。

現在、参加予定児童宅の家庭訪問を行っており、これに併せて、生活上の問題と子ども向け教室へのニーズ調査を実施している。その調査項目に「生活の課題についての優先順位を教えてください」という質問がある。これに対し彼らは、ほぼ100%「教育」を一番の課題として挙げる。

“アフリカ×難民”と聞けば、テントに住んで、食料がなくて……というイメージが先行しがちだとは思うが、調査結果では食料/水、衣服といった選択肢は総じて優先順位が低い傾向にあった。

ここから、生きていくだけの衣糧は何とか確保できている一方で教育へのアクセスができずにいる、という難民の状況が浮かび上がる。

ジブチの公立校は無料で通うことができるが、ジブチ国籍を持っていることが入学資格となっている。よって国籍の異なる難民は公立の学校には通えない。一方で高額な私立に通学させるだけの経済的余裕は難民にはない。

難民を受け入れているジブチもまた途上国であり、難民に対する教育までは制度が追いついていない。訪問の中では「暮らしの苦しい首都ではなく、援助で教育や医療を受けられる難民キャンプに行きたい」と訴える母親もいた。

首都に学校はあれど、そこに通うことはできない難民の子どもたち——。彼らに対し私にできることがどれだけあるかはわからないが、これから始まる教室などを通じ、彼らの立場に寄り添うことを忘れずに活動していきたいと思う。



(関連リンク)

難民の今と未来−ジブチでの難民支援の現場から− 2015年10月16日掲載 池田春佳(青年海外協力隊、宮城県出身)

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同僚と共に、団体が奨学金を提供している子どもの通う学校に行き、ヒアリングを行う

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支援を行っている首都難民の家。郊外にはこうした家庭が多く隣接し、暮らしている

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教室に参加予定の女の子。本来であれば小学二年生になるが学校には通えていない


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イスラミック・スクールと呼ばれる、コーランの読み書きを教える道端の教室

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配属先団体と青年海外協力隊が実施している難民向け刺繍教室。ミシンの使い方を指導している

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短期実施された児童向け教室。カメラを向けると、やることそっちのけで「撮って!」と言ってくる


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