エチオピアに根付くか、カイゼン魂!

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「エチオピア品質・生産性向上(カイゼン)普及能力開発プロジェクト」に加わったのは、2014年3月。2011年11月から始まったプロジェクトも4分の3が過ぎたころでした。日本から遠く離れたアフリカで、なぜ「カイゼン」(注1)なのか、アフリカの人たちになじむのかと、正直、思ったものです。

エチオピアがカイゼンに取り組むことになったきっかけは2008年にさかのぼります。首都アディスアベバで開催された政策対話「イニシアチブ・アフリカ部会」で、JICAから「チュニジア品質/生産性向上マスタープラン調査」とアジアの開発経験が紹介され、メレス・ゼナウィ前首相が強い関心を示したことに始まります。

「カイゼンプロジェクト」は、企業にカイゼンを指導できるコンサルタントを育成することを大きな目的としています。プロジェクト実施期間の3年間で、大中企業担当のコンサルタントを65人、小零細企業担当の教師指導員を170人育成することを目標に取り組んでいます。大企業担当は、カウンターパート(注2)組織であるエチオピア・カイゼン機構(Ethiopian KAIZEN Institute:EKI)のメンバーから、小零細企業担当は職業訓練校の教師指導員から選定されます。教師指導員とは、訓練校の指導員を指導する教師のことです。

このプロジェクトでの私の役割の一つに、トレーニングを受けた職業訓練校教師指導員のフォローアップがありました。指導員たちはエチオピア全土からトレーニングを受けに来ているので、選抜してフォローアップを行うにしても、やはりエチオピア全地域をカバーする必要があります。2014年3月から約2ヵ月半の滞在中に、17市を訪問し、27人の指導員に会ってきました。

指導員を訪問してまず驚かされることは、職業訓練校内での5S(注3)の徹底ぶりです。5Sをはじめとするカイゼンは、一人の努力では成し得ません。指導員はトレーニングを受けた後、他の先生やアシスタントを教育し、学校を挙げてカイゼンに取り組んでいます。

もう一つは、指導員たちが支援した小零細企業での効果です。企業のオーナーに話を聞くと、生産性が数十パーセントから数百パーセント向上したという答えが多く、皆、口をそろえて「カイゼンは素晴らしい」と言います。これらの効果は、5Sの中でも、整理と整頓によるもので、日本人から見ると、カイゼン前があまりにも雑然としていたためだともいえますが、何にしても企業のオーナーが効果を実感していることは、カイゼン普及の第一歩となるでしょう。

職場内での問題を発見し、ストーリー立てて問題解決を行うには、コンサルタント、教師指導員ともに、さらにレベルの高いカイゼン手法を習熟する必要がありますが、エチオピアのカイゼンはまだ始まったばかり。今後も継続的にサポートを行い、真にカイゼン魂が根付くのを支えていく必要があります。

(注1)もともと日本の製造業の現場作業者が中心となって行った品質・生産性向上のための改善活動・戦略のこと。
(注2)国際協力の場で技術移転や政策アドバイスの対象となる組織や行政官・技術者のこと。
(注3)整理、整頓、清掃、清潔、しつけを表す。5Sの実施がカイゼンの前提条件となる。



(関連リンク)

品質・生産性向上(カイゼン)普及能力開発プロジェクト

チュニジア国品質/生産性向上マスタープラン調査

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エチオピアのアディスアベバの街並み。建設ラッシュが続く

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職業訓練校では5Sが徹底されている

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零細企業でのカイゼン。作業性を高める工夫がなされている


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カイゼン普及計画を「フィッシュボーン」というツールで検討

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地方出張中の休日。アワサ湖で釣りを楽しむ筆者

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