安全なエチオピアコーヒーを日本に!−農薬検査のプロフェッショナル人材を育てる−

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私が暮らしているエチオピアの首都アディスアベバは、標高が2,400メートル程度の高原に位置し、5月頃から10月頃までは雨季、11月頃から4月頃までが乾季になります。山岳地帯のため低緯度とはいえ気温は概ね20数度から10度前後と過ごしやすい気候です。夜になるとラボ(実験室)の周りではコオロギが鳴き、日本の地方都市を思わせる暮らしやすい町です。また高冷地のために、レタスや白菜、トマト、ナス、ニンジンなどの野菜類が豊富で食材に困ることはありません。

さて「エチオピア」と聞いてまず思い浮かぶのは、マラソンや駅伝で活躍する選手達かもしれません。しかし実はもう一つ「コーヒー生豆」も有名で、エチオピアの主要輸出作物であり、その主な輸出先の一つは日本です。

地球儀を眺めるとコーヒーの産地は「コーヒーベルト」と呼ばれる赤道をはさむ地域に分布しアフリカ大陸ではエチオピア、タンザニアなど、帯状に分布しています。独特の香りと酸味を持つエチオピア産コーヒーは「モカ」として日本で重宝されているていると聞いています。

私がチーフアドバイザーを務めている「農産物残留農薬検査体制・能力強化支援プロジェクト」は、2008年、エチオピアから輸入されたモカの生豆から残留基準値を超える有機塩素系農薬が検出され、日本中のカフェや喫茶店から「モカ」が消えた出来事がきっかけとなり作られたプロジェクトです。問題発生直後から日エ両国は対策に乗り出し、エチオピア国農業省は農産物の流通管理を行い、同時に農産物品質管理検査所を設立してコーヒー豆を中心とする農産物の残留農薬分析ができる能力を持つ人材の育成支援を日本に求めました。その結果JICAとエ国農業省間で4年間のプロジェクトを開始することが合意され、2011年11月に私がエチオピアに派遣され、エチオピア人スタッフ7名、コンサルタント1名の陣容でプロジェクトが開始されました。(現在はさらに日本人長期専門家1名が加わり、総勢10名の少数精鋭で活動しています)

プロジェクトの主な活動は、農産物品質管理検査所の残留農薬検査機能の強化を支援することで、日本に輸出されるコーヒー生豆も、輸出前残留農薬検査成績報告書の合否判定をプロジェクトスタッフが実施しています。もちろん日本に輸出されるコーヒー生豆は全て残検査合格品です。

スタッフ達は将来万が一の偶発的な残留基準値を超える農薬が検出された事例が発生したら、自らが原因究明や残留確認分析検査ができるリーダーになるとの明確な目標を持ってプロジェクト活動に専念しています。指導する日本人専門家としても、日本の消費者の方々のみならずエチオピア産のコーヒーの残留安全性管理の手法技術が、先進国で認められ、同時にアフリカ地域の手本となって広がることを期待しています。

【農村開発部追記】本プロジェクトをはじめとした、農薬の適切な利用に関する技術協力プロジェクトや研修員受け入れなど、JICAの長年の途上国支援が認められ、このたび日本農薬学会から感謝状をいただきました。



(関連リンク)

農産物残留農薬検査体制・能力強化支援プロジェクト

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日本人専門家から農薬分析の指導を受けるカウンターパート

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分析官は教わったことをさっそく自分たちの手で練習する

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こうして収穫されたコーヒーは日本にも届けられている


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成長を遂げているエチオピア。街には高層ビルもちらほら

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人と人とを繋ぐチームワークがこのプロジェクトの強みです

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日本農薬学会からJICAに贈られた感謝状


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