研修員がつなぐ日本とマラウイ30年の絆

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アフリカ南部の内陸国マラウイは、琵琶湖の33倍もある広大なマラウイ湖を有する国です。JICAとのつながりという点では、青年海外協力隊の派遣総数が世界一であり、アフリカの中でも有数の長い協力の歴史を持つ国です。

7月初旬、新入職員海外研修のためにマラウイに到着して以降、日本とのつながりの長さを感じることが何度かありました。例えば、街を歩いていると、日本人と分かると「JICAのボランティアか」と尋ねられたり、「学校に通っていた時、日本人ボランティアが教師として教えていた」などのエピソードを聞く機会が多くありました。こうした日本人の海外での活躍は、日本でも伝え聞くところです。ところが、逆にJICAの制度で日本に来た開発途上国の研修員が、帰国後、自国でどのような活躍をしているかは、あまり知られていないのではないでしょうか——。

今回、紹介するエリソン・カタンボさんも、かつて日本で研修を受けた一人です。出張で訪れた南部の中心都市ブランタイヤで、乗っていたバスが故障し、郊外のホテルで一夜を明かすことになりました。そこで偶然居合わせたのがカタンボさんです。日本語で声をかけてきた彼の話をよく聞くと、かつてJICAの研修員として日本に暮らしていたことがあるとのこと。今、働いている職場を訪問させてもらえないかと聞いたところ、快く案内してくれました。

カタンボさんは、マラウイ運輸公共労働省の管轄下にある公的機関PVHES(Plant, Vehicle, Hire and Engineering Service)の副所長を務めています。PVHESは建設企業などが建設機材や重機などを購入したり、修繕したりする際の窓口です。カタンボさんは、今から30年近くも前になる1986年に、JICAの国内拠点の一つである東京国際センター(TIC)で建築機材のメンテナンスを学ぶ研修を受けました。

カタンボさんはTICで学んだことをPVHESの地方オフィスで行うワークショップに反映させています。新たな機材の修繕方法についても日本からボランティアを呼んで広めるなど、後進への技術伝達にも熱心に努めてきたそうです。本部オフィスにほど近い、南部地域を管轄する地方オフィスを案内してくれたカタンボさんは、イギリスやドイツ、日本など世界各国で製造された機材について、こと細かに語ってくれました。

日本で得た知見がマラウイ各地の、さまざまな分野で広がっていくのは素晴らしいことだと思います。同時に、私が生まれる前に訪れた日本を、今も懐かしく語り、オフィスに置かれた日本の折り鶴や写真、ポスターにまつわるそれぞれのエピソードを語るカタンボさんを見ていると、こんなにも日本に愛着を感じる人がいるのかと、うれしい気持ちになりました。

円借款や無償資金協力、技術協力や協力隊の派遣など、JICAの活動には幅広いものがあります。その中で、世界各国からさまざまな分野で働く人々を日本に招聘(へい)する研修制度は、日本ではあまり知られていないかもしれません。しかし、日本で研修を受けた人たちが、それぞれの国のさまざまな分野で活躍し、また日本や私たち日本人に親しみを持ってくれる、そうした人々を生み出すことのできる仕事でもあるのだと感じた出来事でした。今回の研修で経験したマラウイ人の心温かさを生涯忘れることができそうにありません。

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PVHES本部オフィスでカタンボ氏と(左が著者)

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地方オフィスで導入機材を説明するカタンボ氏

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