ルワンダの丘陵地に水よ届け−かんがい施設の3Dモデルを作成−

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「このかんがい事業のおかげでうちの畑に待望の水がくる。ありがたい」「日雇い仕事が増えるのはうれしいよ。うちの村からもたくさん雇っておくれ」「私たちの農地はどこ?ダム湖の中?教えて」

ルワンダ東部県ンゴマ郡のとある集会所には、50人超の農家が集まり、熱気がむんむんしていました。2014年末「ンゴマ郡かんがい開発プロジェクト」の説明会を開催したところ、関係農家から、次から次へと意見や質問が飛び交いました。ここで大活躍したのが、この会議で初披露となった3Dモデル(ジオラマ)です。

「ンゴマ郡かんがい開発プロジェクト」は、日本の無償資金協力(注)でダムや水路を作り、ンゴマ郡の300ヘクタールの丘陵地に農業用水を供給するものです。ルワンダは、「千の丘の国」といわれるくらい丘が多く、起伏にとんだ地形の国です。丘陵地には、かんがい施設がほとんどないため、乾期には作物が作れないなど不安定な農業経営を強いられていました。このプロジェクトは、こういった課題を解決するだけでなく、農家への研修を行うことで農業の生産性を向上させ、生活安定に一役買うことが期待されています。工事期間中、日雇い労働の仕事ができることも、農家から歓迎されています。

私は、2013年夏から、ルワンダの農業動物資源省で、かんがいアドバイザーをしています。赴任当初から、ダム予定地の流量データの観測や分析などを通して、日本の技術を伝える努力をしてきました。2014年夏、日本とルワンダとの間で正式にプロジェクトの実施が合意された後は、農家への説明にも参加し、プロジェクトの内容を分かりやすく説明するよう心掛けています。

しかし、ダム、ソーラーポンプ、調整池など多くの施設があり、上下2本の用水路が連なって作られているなど、平面図だけでこのプロジェクトの内容を説明するのは難しく、困っていました。どうすれば分かりやすく伝えることができるか考えたあげく、3Dモデルを作成することにしました。最初は、樹脂粘土だけで作ったところ丘陵地の形状が再現できず大失敗しましたが、その後、段ボールを等高線沿いに切って貼り付け、それを木質粘土で覆う方法で正確な地形を再現し、農家や関係者から「実際の地形と同じようで分かりやすい」という評価を得ることができました。

3Dモデルの作成を請け負ってくれたビッキー・ムンデレレさんは、造形物を造る芸術家ですが、「芸術作品はいらない。正確な3Dモデルが欲しい」という私の強い要望を受け入れて、素晴らしい作品を作ってくれました。これからプロジェクトが本格化するので、この3Dモデルを、プロジェクト現場の視察希望者への説明など、さまざまな場面で活用していきたいと考えています。

(注)所得の低い開発途上国を対象に、返済の義務を課さない資金協力のこと。学校、病院、井戸、道路などの基礎インフラの整備や医薬品、機材などの調達にあてられる。

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慣れないキニヤルワンダ語で説明する際、3Dモデルが大活躍(筆者中央)

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説明に熱心に聞き入る地元農家の人々

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製作中のビッキーさん(右)


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段ボールを等高線で切り抜いて貼り合わせ、木質粘土で仕上げる

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プロジェクトのダム付近の鳥瞰(かん)図

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見るからに複雑なプロジェクト概要平面図


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