近所づきあいから見える「地域のつながり」
ルワンダの人口密度はサブサハラ・アフリカ一。日本よりも高い。私が住むカバロンドという町は、首都からバスで2、3時間ほどの距離にある地方の町だが、ここでも一軒一軒の距離は近く感じる。
私がこの町に赴任した当初からお世話になり、今ではほぼ毎日ご飯を一緒に食べているルワンダの家族がいる。彼らと過ごしていると、物理的な意味だけではない「ご近所さんとの近さ」を感じる。
田舎町のほぼ中心部に住むこの家族は、多くの世帯が軒を連ねる長屋や、同じ敷地内にいくつかの建物がある家などに住んできた。こうした家では、隣近所の住人とトイレや水浴び場を共同で使い、区切りのない中庭などで洗濯物を干したり、料理をしたりすることも多い。住人たちは生活する中で自然と顔を合わせ、日常的に会話を交わしている。
「調味料が足りないからちょっとくれない?」
「水が足りないからタンクの水を分けてほしい」
「サッカー中継を見たいからテレビを見せて!」
といった具合だ。子どもも大人も、気軽に互いの家を行き来している。そして、ルワンダでは訪問者をもてなすことを大事にしているため、あまり裕福でない家庭でも、ふらっと遊びに来た子どもや大人にご飯や飲み物を振る舞う。
このように隣近所の垣根が低いルワンダでは、「地域で子どもを育てる」風土があるように感じる。例えば、買い物に行く時、料理する時などにほかの家に子どもを預ける。また、老若男女問わず子どもをかわいがり、他人の子どもでも間違ったことをすれば叱る。託児所などの施設がなくても、地域で助け合って子どもを育てている。
この地域では、地域のつながりが重要視されているようだ。例えば、子どもの栄養改善のため、母親らが週1回集まって野菜などを持ち寄り、分担して料理し、子どもに食べさせるという取り組みがある。また、地域奉仕活動として週1回、15世帯ほどが1グループとなり、互いの家のトイレやゴミ捨て場などを掘り、各家庭の衛生環境を良くしようと取り組んでいる。
こうした取り組みは、地域のつながり、助け合いの文化があるからこそ成り立つのだろうと思う。
現在の日本には家ごとに隔たりがあるように感じるが、ルワンダでは、地域や子どもたちのためにお互いができることをする、という親密なつながりがある。その姿は、日本から来た私にとっては新鮮で、学びにあふれている。
(関連リンク)

3世帯の住む中庭で思い思いに過ごす住人たち(左端は筆者)

隣の家に遊びに来たお母さんと子ども

子どもの栄養改善の取り組みで集まるお母さんたち

お母さんたちの集まりで振る舞われた食事

地域奉仕活動で、ある家庭のゴミ捨て場を掘るグループ

順番にゴミ捨て場の穴を掘る住人たち(左端は筆者)