意識を変える、普及サービスを変える

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「活動費がない」

これは農業普及の現場で普及員からよく聞く「仕事をすることができない理由」です。1月の予算が4月になってようやく送金されることが起こるような現状では、一線で活動する普及員から「ガソリン代もないのに、どうやって現場に行けばいいのか」という不満の声が上がるのも無理のない話です。

しかし、いま農業省農業局で問題となっているのは、普及員の上司である郡や州の管理職も同じ言葉を口にすることです。財務省から予算が予定通りに送金されないことは問題ですが、それをどうにかするのが管理職の仕事というものです。

そこで農業局では現在、全国10州103郡の管理職に向けて「戦略的思考」の徹底を図っています。2014年3~6月にかけて州ごとに管理職研修を実施し、全郡で農業普及戦略の策定が指示されました。

「戦略的思考」といっても難しい話ではありません。農業普及サービスとは、新しい作物や技術を農家に伝えることを通じて、農家の生計や生活を改善していくための公共サービスです。具体的には、その地域の農家の実情に合わせて、どの作物や技術を普及すべきかを考え、限られた資源を優先的に配分することです。資金が足りなければ、企業やNGOにも声をかけ、地域の農業関係者と一緒に活動すればいいのです。

これまでは、上から指示されたことを実施するだけ、あるいは「予算」を言い訳にそれすらしない郡がほとんどでした。「戦略的思考」とは、仕事のゴールを明確にすること、そして二言目には「~がないからできない」と言う職員の意識を変えること、そう言ってもいいかもしれません。

3月に日本で博士課程を取得しザンビアに戻ってきた、本省の農業普及担当職員は、この取り組みに本気です。「この戦略は、研修中だけの単なる学びではありません。明日から現場であなたたちが使うものです。もし次に私が君たちの郡を訪れたとき、この戦略が使われていなかったら、どういうことになるか分かっていますか?」と語気を強めます。本省の同僚職員に対しても「郡の職員のやる気をしっかり受け止めなくてはいけない。適切なアドバイスができなければ本省から出張に出かける意味がない」と厳しく叱咤(しった)しています。

これまで政府の農業普及員は、農家だけでなく、他の援助機関やNGO関係者からも「補助金を持ってくるだけの人」だと言われていました。この負のイメージを払しょくするため、本来するべき普及の仕事をしようと、農業局の職員は少しずつ変わろうとしています。組織を変えることは一朝一夕にできるものではないかもしれませんが、彼らのやる気と向き合うプロジェクト(農村振興能力向上プロジェクト)は、今年の12月まで続きます。



(関連リンク)

農村振興能力向上プロジェクト

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管理職研修

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四半期の計画と実績を貼り出し、やる気をみせる郡管理職

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ゴマ栽培農家と協議する普及員(右)


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