衛生環境の改善を目指して 意識の改革がキーポイント

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アフリカ南部の内陸国ザンビアは人口1,600万人、その約14パーセントにあたる220万人が首都ルサカ市に集中しています。ルサカ市内にはコンパウンドと呼ばれる低所得者が居住する地域が点在し、220万人の大半がそこで暮らしています。

2017年10月、一年で最も暑く、乾燥して砂ぼこりが舞う乾期の終盤に、コンパウンドでコレラが発生しました。現地政府の迅速な対応で11月末には終息するかと思われたものの、やがて雨期を迎え、本格的に雨が降り始めた12月に感染地域が拡大。2018年1月末までにルサカ市内で3,500名以上の感染が報告され、70名を超える尊い命が失われました。亡くなった人の多くが5歳未満の子どもたちです。

特に多くの感染者を出した地域は、安全な水が十分に確保できず、生活用水として住民が庭に掘った浅井戸の水の汚染が原因だったとも言われています。政府は、保健施設での患者対応のみならず、郡や警察も動員して汚染地域の消毒、飲料水の配布、手洗い励行などの衛生啓発活動を実施し、それにより徐々に状況は改善されているものの、今も感染報告は続いています。

1月中旬にはWHOなどの国際機関の協力により、発生地域を中心に予防接種キャンペーンが実施されました。キャンペーン初日には、各地で人々が幼い子どもたちを背負って早朝5時から列に並び、1週間のキャンペーン期間中に100万人以上の住民が予防接種を受けました。

「コレラとの闘い」は、エイズやエボラなど、これまで繰り返され、いまもなお続く途上国の感染症との闘いを想起させます。現地政府は衛生環境改善、健康指導、情報提供を行い、国民の健康への関心や予防行動を向上させようとしていますが、人々に意識の変革を促すのはとても難しく、特に教育を十分に受けていない貧困層においては、情報提供を行ってもその正しい理解を得るのが難しいこともあります。

衛生環境の悪いコンパウンドで暮らす人々にとって、見えないウイルスや細菌は大変な恐怖で、コレラによる死者数や感染報告数の増加が続いた1月初旬には、住民たちは一時的なパニックに陥りました。日本では耳にすることのない感染症によって、多くの命が失われていくのは、日本とザンビアの社会の格差を目の当たりにしているようで心が痛みます。

この教訓から、政府は安全な水へのアクセスの確保、定期的な衛生検査の実施、継続的な衛生教育に取り組もうとしています。すでに米国や中国、WHOなどの国際機関がこれに協力を表明しました。JICAも、現在実施中の保健や水分野における協力の中で、政府の取り組みを支援していきます。



(関連リンク)

各国における取り組み  ザンビア

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予防接種キャンペーンに詰めかけた人たち

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閉校中の教室が臨時予防接種会場に

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投与に並ぶ人たち


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臨時に設置された給水タンクに集まる子どもたち

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浅井戸を利用する人たち。多くが雨期には汚染される

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地面に穴を掘っただけの浅井戸


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