コロンビアで進む最先端の農業研究

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私の勤務先である国際熱帯農業センター(CIAT)は、国際農林水産業研究を通じて開発途上国の持続可能な食料安全保障の達成を目的に設置された国際農業研究協議グループ(CGIAR)の一機関としてコロンビアに本部を構え、環境に優しい農業のための研究を通じて、熱帯地域の人々の飢餓と貧困を減らし、栄養改善を進めることをミッションとして、日々研究に励んでいます。

2017年に設立50周年を迎えたCIATには、世界各国から200人以上の研究者を含む約1,000人のスタッフが所属し、世界53ヵ国で活動しています。長い歴史の中で日本人研究者も多数所属し、熱帯地域の人々のために貢献してきました。そうした先輩方の努力もあって、勤勉さや高い技術力といった日本のイメージが定着しており、日本人というだけで一目置かれます。

本部の研究所には世界最先端の機材が設置され、日本の最先端研究所と同様の研究を行うことが可能です。しかしながら日本では即日に手に入る試薬の到着に半月以上かかったり、コロンビア国内に機材のメンテナンスができる技術者がいないために、アメリカやブラジルに機材を送って修理したり、技術者に来てもらったりで、実験が中断されてしまうこともしばしばです。そんな環境においても、自分のペースを乱さずにひたむきに研究に打ち込むポジティブな研究者にはいつも敬服しています。

温暖な気候のために一年中栽培ができるのもこの研究所の特徴です。私の専門の稲作では田植えをした翌日に収穫をしたり、またその翌日に開花期調査をしたり、日本では1年に一度しか経験ができない稲作栽培を年に何度も経験することができます。そのため、品種改良したイネや最先端の農業研究の現場への見学者は一年中絶えることがありません。

おコメがどのように植わっているのかを知らない子どもたちがその日の見学を終え、得意気に帰っていく姿をみると国際研究機関としての別の役割を感じます。日本同様に後継者不足や営農化の遅れが農業課題として挙げられるコロンビア。これらの課題解決のために、様々な物をインターネットでつなぐIoT技術や精密農業などの最先端農業技術に注目が集められがちですが、若い世代に農業の魅力を伝えるというソフト面での貢献は、いつの時代も変わらず必要とされるものだなと感じます。 

コロンビアで進む最先端の農業研究の原点にある“みんながおいしいご飯をおなかいっぱい食べられるよう、食料を作る農業者・研究者を育成する”という点にも注目し、農業の魅力や面白さを伝えられる研究者としても引き続き、貢献できればと思います。

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50周年を迎えた国際熱帯農業センター(CIAT)のエントランス

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世界各国の研究者が所属する農業生物多様性研究領域グループ

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隣接する大学の学生への農業課外実習


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職場体験で初めてイネの栽培を見る中学生

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プロジェクトで導入したドローンのデモンストレーション視察

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プロジェクトで育成した新品種の収穫作業


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