キューバの野球事情

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1960年生まれの私はTVアニメ『巨人の星』に影響され、中学では野球部に入っていました。37歳の時、ケガで目を悪くして以来、プレーはしていませんが、観戦は大好きです。現在、「海水魚養殖プロジェクト」に携わる専門家としてキューバに派遣されています。そこで見聞きしたキューバの野球事情を紹介します。

キューバには「セリエ・ナシオナル・デ・ベイスボル」というプロ野球リーグがあります。キューバ革命を成し遂げたフィデル・カストロが、その3年後の1962年に立ち上げたもので、カストロ自身が開幕戦の始球式にバッターとして登場する映像を何度か見たことがあります。現在は14県に、県扱いの首都ハバナ市と特別自治体のイスラ・デ・ラ・フベントゥを加えた合計16チームでリーグ戦を行っています。シーズンは雨期とハリケーンを避けた10月から4月ごろまでです。

チーム名は、シエンフエーゴス県の「エレファンテス・デ・シエンフエーゴス」のように、県名に動物(ゾウ、ライオン、トラ、ワニ、ウマ、ニワトリ、ハチなど)や事象(ハリケーン、つぼ、インディアンなど)のニックネームが付いています。ハバナ市だけは「レオネス・デ・インダストリアレス」で地名は入っていません。各チームは、県庁所在地に芝の屋外野球場を持っており、一部はナイターも可能です。

各チームの所属選手は、その自治体に住んでいる必要があり、日本のようにチームを選ぶことはできず、転居自体が難しいようです。伝統的に強いチームは、ハバナ市のインダストリアレス、キューバ第2の都市があるサンティアーゴ・デ・クーバ、国の中央に位置するビジャ・クララです。日本の野球チームに例えると、インダストリアレスが巨人、サンティアーゴ・デ・クーバが阪神、ビジャ・クララが中日でしょうか。ハバナの西隣のピナール・デル・リオも優勝回数が多く、昨年、一昨年は北部のマタンサスが準優勝と上位に顔を出しています。

野球が国技ともいえるキューバでも、最近はサッカーに興味を持つ若者が増え、「野球人気に陰りが出てきている」との声も聞かれます。そうした状況を取り上げた「インダストリアレスVSレアル・マドリード」というテレビの特集番組もありました。とは言っても、試合のある日は必ず1試合はテレビ中継があり、その中継が今シーズンからは3試合に増えるともいわれています。

私はハバナ市とプロジェクトが行われている650キロメートル離れたカマグエイ県の海水魚養殖場を行き来しています。カマグエイ県では民宿に寝泊まりしているため、隣家には40代の夫婦と、15歳くらいの娘、5〜6歳の息子が住んでいます。キューバ国営放送では夜8時になると、アニメに乗せて「子どもは寝ましょう」と伝える歌が流れます。母親が息子に「寝ようね、お父さんが野球見るから」と声をかけ、その後、父親が野球中継を見ながら一喜一憂している声が聞こえてきます。

「海水魚養殖プロジェクト」のキューバ側のリーダー、フアン・ネルソン・フェルナンデスさんはハバナ出身で、インダストリアレスの大ファンです。私のキューバ野球の先生でもあります。試合の翌日は彼の機嫌の良し悪しで試合結果がわかります。ちなみに野球観戦の入場料は1キューバペソ(約5円)だそうです。



(関連リンク)

海水魚養殖プロジェクト

【写真】

インダストリアレスファンのネルソンさんと(左が筆者)

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