牛と人工授精(Artificial Insemination)

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活動内容は「乳牛の人工授精(AI)と繁殖管理」ですが、まず乳牛の一生について説明します。

乳牛は出産をしなければ牛乳を生産しません。出産直後はたくさんの牛乳を生産しますが、1日に生産する乳量は徐々に減っていき、次のお産を経験することでまた牛乳を生産できるようになります。

このように乳牛の一生は出産、乳生産の繰り返しなのです。生まれたオスは太らせて牛肉に、メスは乳牛として働きます。乳牛にとって交配・出産は重要なイベントなのです。

AIの大きな目的は、(1)優秀なオスの精液を多くのメスに交配し、生産能力の高い子孫を増やす(遺伝的改良)、(2)性交による病気を防ぐ(伝染病予防)です。

ヒトに月経周期があるように動物には発情周期があります。牛は21日周期で発情がきます。牛が妊娠するにはこの“発情”のタイミングで交配しなければならず、AIも例外ではありません。発情を逃してしまうと次回のAIまで21日間ロスをするということになります。

日本ではほぼ100パーセントの乳牛がAIにより生産されています。エクアドルでは10パーセント以下で、雄牛による自然交配がメインです。配属先である農牧省は3年前に「農村における生産者支援のプロジェクト」を始め、その一環としてAIによる生産性向上を目指し、無料でAIを実施しています。生産性向上には優秀な子牛が継続的に生まれることが求められますが、そのための二つの柱があります。

I.AIの技術が確立されていること。
II.どの牛にAIを実施すべきなのか、いつ発情がくるのか、AIにより妊娠したかどうかなどの牛の情報が整理されていること(繁殖管理)です。

1年目の活動を通して見えてきたのは、AIの技術はあるものの、繁殖管理がなされていないということでした。繁殖管理の不十分によりAIが効率的に行われなければ、生産性の向上は望めません。

そこで繁殖管理に活動の焦点をあて、牛の繁殖状況を記録するのに適している「繁殖カレンダー」を作成しました。日本では一戸の農家さんが多数の牛を飼育しているためパソコンにより牛の情報を管理するのが一般的です。エクアドルでは一戸当たり10頭以下が多く、パソコンも普及していないため紙ベースの繁殖カレンダーが望ましいと考えました。ポスターサイズの大きさで、壁に貼っておけばなくす心配もなく、いつでも見直しができるのも特徴です。

2年目の現在は管内を巡回しながら、繁殖カレンダーの普及に努めています。



(関連リンク)

各国における取り組み エクアドル

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家の庭先で数頭の牛を飼育する光景は日常的である

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草がない場合、毎日草場を求めて牛を移動させる

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畜産地帯。草地が細かく区分され小中規模酪農家が多く存在する


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AIの物珍しさに住民が集まる

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AIした牛の妊娠診断。農牧省の獣医師が行う

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作成した繁殖カレンダー。デモ用に説明付


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