差異を重んじ、とことん話し合う

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私の活動先は、ボリーバル県サン・ミゲル市の慈善財団が運営するリハビリセンターで、同僚のセラピストがたった1人の小さな職場です。設備は最低限で、訓練道具は不足していました。エクアドルの地方医療は、人材不足や資金不足などから都心部との格差が大きく、都心の病院で最低限の治療を受けて町に戻る患者さんが多くいます。町は山と畑に囲まれ、急坂と階段だらけのため、患者さんは数人に抱えられて移動し、遠方からはトラックの荷台や馬に乗ってやって来ます。

ここで私に求められたことは、リハビリの技術移転と質の向上です。同僚は15年ほどの経験があり、一定の知識と技術は習得していましたが、物理療法が中心で訓練内容が画一的なものでした。同僚はとても勉強熱心で、運動療法や素手によるアプローチの知識・技術の向上を望んでいました。そのため、必ず同僚と2人で患者さんを担当し、意見交換や治療の技術的な助言をしながらこつこつと進めていきました。

活動を続ける中で、自分のものさしで推し量り、日本の手技や知識をそのまま導入するだけでは技術の定着は難しいと感じました。そのため、より良いリハビリテーションをこの場で提供するには何が必要なのかをとことん話し合い、協力しながら治療に取り組みました。物不足には、訓練道具や自助具を廃材から作るアイディアを伝えました。

活動も残りわずかになり、同僚は運動療法を積極的に取り入れて、患者さんの症状にあわせたやり方をできるようになりました。生活環境や習慣は違えども、患者さんが痛みを抱えて日常生活で困っていることは変わりありません。だからこそ、同じセラピストとしてお互いを尊重しつつ議論を重ねたことで、同僚は自ら必要な技術や知識を獲得してくれたのだと思いました。



(関連リンク)

各国における取り組み エクアドル

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活動先のボリーバル県サン・ミゲル市

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急坂を下った右手がリハビリセンター

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リハビリ室内の様子


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脊髄損傷の患者さんのために作った食事用の自助具

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半身麻痺の患者さんに作った手指の訓練道具

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