エクアドルと日本の絆-災害と太平洋-

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赤道直下にあるエクアドルに到着してはや半年が過ぎた。私が住むサリーナス市は、南西部のコスタ地域と呼ばれる太平洋岸に位置するため、年間を通じて暖かい。冬の朝晩は15度程度まで気温が下がり曇り空の日々が続くが、ひとたび太陽が顔を出すと、海辺は真っ青になり幾重にも鮮やかな色をした美しい夕焼けを見ることができる。加えて食事がとてもおいしい。自宅から数百メートルも歩けば、海岸でビーチを見ながらランニングし、毎日のように新鮮な魚貝類を食べられる場所がある。

そうした恵まれた環境でどんな活動をしているのかと想像されるかもしれない。しかし、サリーナス市は市街地のほとんどが海抜10メートル以下に位置し、しかも海岸沿いに多数の高層マンションやホテルが建ち並ぶ国内有数の観光地で、地震、津波、大雨など災害時の避難などの対策の必要性が叫ばれている街である。

私は、サリーナス市役所配属され、市内各地の学校や公共施設を訪問し、地震や津波の知識、日本の津波の映像などを使って同僚と防災研修を続けている。ひたすら語り続ける地道な作業だが、住民の方と直接対話できることがとても幸せだ。同僚はいつも、「2人の住民に研修をすれば、彼らの家族、知人、隣人など総勢10人以上に同じことが伝わる。だからこそ少人数でも研修を続けていくことが大切だ」と語っている。私はその考え方に大賛成だ。

私自身、東日本大震災後に、被災地である宮城県石巻市の市役所に勤務し、多くの住民の方からさまざまな話を聞かせていただいた。サリーナスでも被災地の様子を語り津波の映像などを見てもらうと、住民の皆さんが目を丸くして同じ太平洋で起こり得る現実を直視し、危機感を感じてくれる。研修をしてよかったと思える。

そして何よりもありがたいのが、同僚たちを含めエクアドルの人々が私を日本人として特別視しないことだ。もちろん言語的なハンディや文化的差異で意見が衝突することもあるが、同じ危機管理部署の一員として、一人の人間として私を受け入れてくれていることに何よりも感謝している。それこそ私が、ここサリーナス、エクアドルで働くのが好きだと思える最大の理由だ。

今後1年半の活動においてもさまざまな出来事が起こるだろうが、遠く離れた日本とエクアドルを太平洋の絆で結ぶ活動をこれからも続けていきたい。



(関連リンク)

各国における取り組み エクアドル

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高層アパートが海の近くに建ち並んでいる

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未舗装地帯が多く、洪水になりやすい

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防災研修で宮城県石巻市の被災について説明


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防災教育研修における先生向けのワークショップ

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市役所危機管理部の同僚たちと

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