生活に根付く宗教

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私は今、エクアドルの首都キトからバスで1時間ほどのコノコトという町で暮らしています。この町にはキトの慈善財団による身寄りのない高齢者のための介護施設があり、高齢者介護という職種として派遣されました。

施設には、国籍、性別がさまざまな高齢者が100人以上暮らしており、日本でいうと「自立」から「要介護5」までの人が在籍しています。思い思いの場所で日々過ごしている彼らが一堂に会するのが、今回紹介するミサです。

エクアドルは国民の多くがカトリック教徒で、ミサに行くことが生活の一部となっています。施設でも月に1、2回、金曜日の朝食後、食堂に集まります。普段はコミュニケーションを取りにくい人、認知症などの人も、この時は声掛けによく反応してくれます。顔の前で十字を切るしぐさを見せ、声掛けにしっかりとうなずき食堂に向かう人もいれば、曜日を尋ねてきて金曜日と分かるとミサに連れて行ってほしいと話す人もいます。

そしてミサが始まると、参加者はみんな静かになります。「la paz」(主の平和)と唱えながら握手や抱擁をする場面では、普段は独りきりで過ごしている人も、気性の荒い人も、みんながそうするのです。ミサの最中に集中できなかったり、うとうとしたりすることももちろんあります。でも、宗教が彼らにとっていかに大切で、生活に根付いているものであるということが伝わってきます。

日本の介護現場では、認知症の人が覚えている昔からの習慣などを大切にしていることがありますが、エクアドルでは、このような精神面や心理面をケアする介護観はまだあまりないように見受けられます。ですが、自然と彼らは昔の習慣を大切にし、それが彼らの心を支えているのだと感じます。文化や価値観の違いに戸惑うことも多いですが、彼らのこの文化はうらやましいほど、すてきだと思います。



(関連リンク)

各国における取り組み エクアドル

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施設の中庭の様子。日向ぼっこをしています

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施設でのミサの様子

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利用者と


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利用者と

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山に囲まれたコノコトはキトの中心部に比べて暖かく過ごしやすい

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