東日本大震災の被災者の方々に思いをはせて

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2015年国連総会本会議において、11月5日が「世界津波の日」と制定された。早期警報の重要性や、津波の脅威と対策について世界的に理解と関心を深めることが目的のようだ。この日に合わせ、私の派遣国ジャマイカの田舎町で初めての試みである「津波避難訓練」を同僚と企画した。

私たちは一つのコミュニティを歩き回り、「Face to Face」で住民と話し、訓練告知をした。コミュニティの奥へ奥へと足を踏み入れる。家族・親戚構成が入りくんでおり、日本人からすると馴染みのない状況が広がる。人の関係性が密な場所での情報拡散に、大きな役割を果たすのが口コミだ。協力者のジャマイカ人の友人は、住民誰とでも親しく家族のように接する。露店などを営む友人たちにも津波避難訓練を話のネタにして欲しいとお願いし、私が作成したポスターを根気強く配り歩いた。

そんな折、「Tsunamiなど来るはずがない!」と憤る地元住民もいた。ジャマイカの文献上の津波は100年以上前の話であり、意識啓発の重要性を再認識させられる。

訓練の事前説明会当日。バケツをひっくり返したような大雨が大地に降り注ぐ。誰も会場に現れない。私は弱気になる一方、同僚は底抜けに明るい。この違いが国民性というものなのだろう。

仕切りなおしての訓練当日、抜けるような青空が広がった。続々と集まる参加者たち。警察・消防・災害ボランティア・地元住民ら、総勢40人程。

私は東日本大震災発災後に現地で撮影した写真や、女川町の津波到達を記録した動画を用いながら
(1) 早期警報システムの重要性
(2) 津波の波長の長さ
(3) 押し波と引き波の強さ
などを伝えた。

説明会終了後は一旦解散。そしてついに発災想定時刻。防犯用手持ちサイレンを鳴らしながら地域を車でぐるっと回る。すると丘を駆け上がり避難する参加者たち。

訓練想定シナリオはJICAの防災に関する研修を受けた現地人の同僚が考案した。彼女は東日本大震災の被災地である東北地方を訪れ、津波避難訓練にも参加している。その知識・経験を生まれ故郷のジャマイカで見事に還元している。

地球儀を俯瞰すれば、それはカリブの小国、小さな田舎町のちっぽけな地域のささやかな出来事のようにも見える。しかし、愛するジャマイカで、一つのコミュニティの初めての取り組みに参画することが出来たのは非常に光栄で、私にとって忘れることのできない経験となった。



(関連リンク)

各国における取り組み:ジャマイカ

11月5日は、初めての「世界津波の日」——日本の経験を世界の防災・減災に役立てる(2016年11月4日、トピックス)

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任地の町並み

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友人が津波避難訓練を告知する様子

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津波避難訓練当日の空


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津波発災を知らせるために使用した防犯用サイレン。物が不十分だからこそあるものを最大限活用する

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高台に避難する参加者たち

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津波避難場所の妥当性を協議する同僚と消防職員


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