継続できるサポート体制を-パラグアイの小学校で教師同士の協力を育む-

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私は今、南米大陸の中央にあり「南米の心」と呼ばれるパラグアイに配属されています。パラグアイの首都アスンシオンから約90キロ離れたイタクルビ・デ・ラ・コルディジェラという町で、小学校教育のJICAボランティアとして、算数の授業の指導方法や工夫改善をサポートをしています。

私の配属先はJICAボランティアを長年受け入れているため、ある程度の土台が出来ており、周りの様子をうかがう間もなく活動がフル回転で進んでいきました。パラグアイには、ボランティアと地元の教師らの協力で作成した、算数の指導書『MaPara』と練習問題集『4D』があります。その2つの教材を活用した「授業の改善」、教師らが行う「公開授業のサポート」、「教師向け研修会の企画運営」など、目まぐるしい日々が続きました。

活動1年が過ぎ周りが見えてきたころ、「私が去った後にも地元の教師ができることを」と考えるようになりました。そこで始めたのが、「サポート体制作り」です。パラグアイは基本的に「個人主義」です。自由度は高いですが、その一方で常に「不安」を抱えている教師の姿がありました。

そこで、「学校代表で公開授業を行う1年生のクラスの担任教師をみんなでサポートしよう」という約3ヵ月のプロジェクトを実施しました。1年生ということもあり、授業内容は算数にとどまりません。文字を書く以前の手作業・工作の授業や、数字の書き方の授業などを幼稚園で教えた経験のある同僚がサポート。パラグアイでも最近になって導入された、障害の有無にかかわらず同じ教室で学ぶ「インクルージョン教育」についてもチームのみんなで考えていきました。

その中で、担任教師も少しずつ自信を持てるようになり、公開授業も無事に終えました。その様子を見ていたほかのクラスの教師が、公開授業後、「私が1年生を担任するときにもこのプロジェクトをやりたい」と言ってくれました。「個人主義」が根底にある異国の地でも、「協力」「人と人をつなぐ」日本の心が受け入れられた瞬間でした。

「自分とパラグアイの人の感覚は違うから受け入れられない」と思うようなことでも、やってみないと分からないものです。感覚の違いから生まれる悩みは多々ありますが、その違いから何かを感じ取り、学べることも確実にあるのです。

私は現職教員特別参加制度(注)で派遣されているので、任期は1年8ヵ月です。この3月には任期を満了し、帰国します。その私の心には、ある歌の詩が流れています。

花のように 花のように ただそこに咲くだけで 美しくあれ
人は皆 人は皆 大地を強く踏みしめて それぞれの花 心に宿す(中孝介「花」)

残された時間は限られていますが、志を最後まで持ち続けたいと思う2月の夏空です。(2月に執筆)



(関連リンク)

(注)現職教員特別参加制度

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パラグアイの教師とJICAボランティアが共同製作した算数の指導書

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計算ブロックを使って作業する1年生

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プロジェクトとして行った手作業の授業の作品


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1年生の公開授業

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算数ゲームでの自分の順番を楽しみに待つ子どもたち

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算数ゲームの仕方を教えるボランティア


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