小さなことからコツコツと-生活習慣を変えて、病を防ぐ-

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南米パラグアイの首都アスンシオンより東へ約180キロにある、カアグアス市という町で、看護師として活動しています。カアグアス市は国道沿いにあり、人口約10万人の比較的大きな都市です。市内には私の配属先である地区病院と、小規模なクリニック「保健ポスト」が7ヵ所あり、住民の保健衛生分野を担っています。

パラグアイでは昨今、生活習慣病の増加が問題となっており、生活習慣の改善を目的とした保健指導など、地域看護の必要性が高まっています。しかし、パラグアイの医療職者や、将来医療職を目指す学生たちには、依然として「看護師の仕事=症状に適した薬を与えることや、消毒などの診療の補助」という考え方が強く、なかなか地域看護に目が向けられません。

また、院内の看護師不足も地域看護の実践を妨げる要因となっています。各部署に配置されている人数が1人または2人と少なく、看護師たちは自分の仕事で手一杯という状態です。そのため、時間を割いて保健指導をしたり、健康教室を実施したりするのは難しい状況です。

そこで、住民の保健衛生の知識向上を大きな目標として、院内外での保健指導を実施しています。

パラグアイの伝統的な料理といえば、マンディオカ(キャッサバ)やアサード(パラグアイの焼肉で、肉を塊で焼いて分けて食べる)、トウモロコシを使った料理など。とてもおいしいですが、炭水化物とお肉が主で、さらに油や塩、砂糖を大量に使うところが難点です。野菜もあまり食べません。田舎に行くと野菜を購入することが難しいところもあるくらいです。

運動習慣のある人も少なく、100メートル先でもバイクや車を使用する人が多いことにびっくりしました。そのため、生活習慣病の予備軍と考えられる肥満の人がとても多く、食生活の改善と運動習慣を身につけてもらいたいと思いました。

何人かの同僚に手伝ってもらいながら、糖尿病患者クラブや住民集会に参加し、栄養素やバランスの良い食事について、肥満や生活習慣病についての講習会を実施したり、ラジオ体操をはじめとした簡単にできる運動を紹介して、一緒に体を動かしたりしました。

また、患者や住民の中には、自分自身の健康状態を把握していない人も多いので、血圧や体重、体格指数(BMI)などの数値を定期的に測定し確認できるように、健康手帳を作成して住民に配布しました。

保健指導により食生活の改善や運動が大切だと理解してもらうことはできても、長年の習慣を変えるのはなかなか難しく、目に見える成果を得ることはとても難しいです。

しかし、こういった活動はとても意味のある活動だと思っています。先日、定期的に血圧や体重の測定を行っていた地域の人たちが、「自分たちで定期的に血圧を測定できるようになりたい」と、お金を出し合って血圧計を購入。それを持って来て、「測り方を教えてほしい」と声をかけてくれました。

小さな変化ですが、以前よりも自身の健康に興味を持ってもらうことができたという、確かな成果だと思っています。この小さな変化が周囲の人に伝わって広がっていってほしいと思いました。

とても長い時間はかかってしまいますが、こういった小さな変化が積み重なって、将来の地域全体の保健衛生向上につながると信じています。

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パラグアイでよく食べられているマンディオカ

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糖尿病患者さんへの栄養指導

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住民集会での運動紹介と実践


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血圧・体重・BMI・腹囲を定期的に測定(右が筆者)

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住民自身で健康管理ができるよう、測定値を記入する健康手帳を配布

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