ないものを嘆くよりも…

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パラグアイ南部に位置するイタプア県サンペドロデルパラナ市。この町で私は「イタプア県における小規模酪農家強化プロジェクト」の三代目ボランティアとして活動してきました。

プロジェクト開始当初は、まさに”自然任せの酪農”。暑熱に強い小柄な「セブ牛」が主体で、平均乳量は1日5リットル程度。酪農家1戸当たり平均4~5頭搾乳。もちろん手搾りで、生乳かチーズに加工して自家販売しています。子牛は母牛の乳を吸い、放牧され、雄牛による自然交配。良くも悪くも素朴で自然な酪農です。

しかし、衛生的な搾乳はされておらず、乳房炎という病気も蔓延。いつ生まれた子牛なのか、いつ出産予定なのか、そんな記録はもちろんありませんでした。

このプロジェクトでは、そんな酪農家の生計向上、具体的には乳量の増加と乳質の改善を目標に活動してきました。

私の主な活動は巡回指導で、朝の搾乳時間に合わせて町を出発し、酪農家のもとへバイクで向かいます。

乳質の検査や牛の体調チェック、搾乳方法から飼料のこと、繁殖管理のことまで酪農家と相談しながら適宜アドバイスを行います。

しかし、三代目のボランティアともなれば、おおむね一度は提案済みのことばかり。何か提案しても「そんなことは知っている」「お金がない、時間がない」と口を揃える酪農家にどうアプローチしたら良いのか頭を抱えることも。

そうしているうちに、「ここは電気がないから」「お金がないから」「やる気がないから」と“無理”と決めつけてあきらめていた自分がいました。

しかし、一度は無理だと答えた酪農家もチャレンジしてくれたり、「ここには水道がないから難しいかも…」と思っていた酪農家も、アイディアを出し合って見事克服したり、「ないものを嘆くのではなく、あるもので考え、あることに感謝する」ということを彼らから気づかされました。その考え方、見方ひとつで、物事は好転したりするということです。

目に見える大きな一歩ではなくとも、気持ちの変化、小さな変化の積み重ねが未来の成果につながるのだと信じています。



(関連リンク)

各国への取り組み パラグアイ

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搾乳風景。泌乳(ひつにゅう)を促すために、子牛は母牛の近くに

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搾乳後すぐにペットボトルへ

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バイクに積んで町へ売りに行く。この日は計30本(約60リットル)を一度に運ぶ


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飼料の相談中。冬場の餌不足はどの農家も深刻

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酪農家への道のり。雨が降ったら数日は通れない

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