グローバル化で失われつつあるよき文化を「まもる」という国際協力のカタチ

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「国際協力」というと、開発途上国の「発展を支援する」というイメージがあるのではないでしょうか。少なくとも私はそうでした。しかし、青年海外協力隊として派遣され1年がたった今、「発展を支援する」という言葉にはどこか違和感があり、「まもる」という言葉の方がふさわしいような気がしています。

私が派遣されたペルーは、開発途上国とは言いがたい「中進国」(注)に位置づけられる国の一つです。「中進国に国際支援なんて必要ない」「援助は貧しい国だけに限るべき」——そんな意見も多いと思います。実際、赴任地で活動を始めてから、自分の活動に意義を見いだせない日々が続きました。

それでも地域の栄養不足改善のため、学校で菜園を作り、野菜を学校給食に取り入れ、子どもの栄養改善を図る活動を行いました。興味を持ってくれた保護者グループと一緒に、現在は各家庭での菜園づくり、野菜摂取の促進を行っています。

うまく野菜ができ、たくさん収穫のあった家庭には、生計向上のために「余った野菜を売ってみたら?」と提案してみました。しかし、返ってくる答えはいつも「ノー」。不思議に思い、「どうして?」と尋ねると、「近所の人に分けてあげたいから」と一言。「おすそわけ」という日本ではあまり見られなくなった文化を目の当たりにし、少しびっくりしましたが、ここではそれが当たり前のようです。

また、ある日、村を歩いていると、集団で畑を耕しているグループを見かけました。一人では大変だから仲間同士で、それぞれの畑を共同で耕していくのだそうです。それは私が生まれる前、農業が機械化される前の日本にもあった風景です。

このような人とのつながりを重んじる文化の中に、素晴らしさを見いだせたのは、私が外国人であったからだと思います。村人はそれが当然で、その素晴らしさに気付いていません。外からの視点が入ることで、今持っているものの大切さや尊さを知り、失われる前に守っていくことができるのではないか——と気付きました。

経済発展を追い求めるなかで、「おすそわけ」や「共同作業」というよき文化を失ってきた地域は多くあると思います。そしてグローバル化が進む今、独自の文化を維持することすら難しくなっています。中進国という基本的ニーズが満たされている地域では、その国の文化を「まもる」というカタチの国際協力もあるのではないかと思います。

(注)一人当たりGNIが3,976ドル以上、6,925ドル以下の国(国連、世界銀行の分類による)。

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アンデス山脈標高2,500メートルの任地。雲海が下に見える

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学校菜園で収穫したキャベツ。無農薬でも見事に成長

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学校菜園で生育中のホウレンソウを見守る子どもたち


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畑での共同作業。一つの畑を仲間同士が協力して耕す

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家庭で野菜栽培を始めた保護者

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野菜を取り入れた学校給食。自分で育てた野菜の味は格別


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