芸のできる「猿」になりたい

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ペルーでの活動期間中、常に心がけていたのは、たとえ言葉ができなくても任地に「何か」を残すことでした。首都リマ市から300キロメートルほど南にあるイカ市の市役所の保健・環境支部に配属され、環境教育隊員として、ペルー人同僚とともに企業や学校への啓発活動を行ったり、市民向けのイベントを開催したりしてきました。

外国人が珍しいイカ市の人たちにとっては、たどたどしいスペイン語を話す外国人の私は「猿」のように見えたかもしれません。ならば畑を荒らす「猿」ではなく、少しでも注目を集め、人を集められる「芸のできる猿」になりたいと思い、活動してきました。

赴任当初、問題だと感じたことは、学校での継続的な環境教育の不足でした。同僚は学校を回って環境ワークショップなどを行っていましたが、一度で子どもたちの意識を変えることは難しく、ただのイベントとなっていました。

そこで、モデル校を2校選定し、年間を通じて啓発を行うため、毎月テーマを決めて、授業や活動を行いました。さらに、その経験を多くの学校に広めるため、1月末から複数回、市内公立校の教員を集めた環境教育講習会を開いてきました。市職員が、子どもたちを啓発していた今までの手法を、教員を通して啓発する方法へ改善するためです。教員が学校で環境啓発を行えるように「リブロ・ベルデ(みどりの本)」という教材を、同僚や任地の環境専門家とともに作りました。

講習会はまだ市内全校を網羅するには至っておらず、私の任期終了後は、同僚が継続してくれます。市内にある約100校の公立校の教員を集めて、14回の講義を4月から随時行う予定です。多忙でなかなか啓発に時間が割けない同僚でも、講習会を続けることによって、教員を通して啓発できる体制へとつなげました。

一方、市民への啓発はなかなか進んでいませんでしたが、2014年10月、市内のショッピングセンターで3日間、エコバッグキャンペーンを実施することができました。イカ市役所、環境省、ショッピングセンターの共催で行ったこのイベントは、住民のごみ削減の活動への参加を促すとともに、企業のCSR(企業の社会的責任)活動を発展させる目的もありました。

環境省にエコバッグとペンケースなどのリサイクル啓発物品を提供してもらい、最終的には400枚のエコバッグを配布することができました。イベントの成功を受けて、6月には、ショッピングセンターがエコバッグを作成し、イベントを行うことが決定。同僚がプランナーとなってイベント開催を主導し、企業側のCSR活動も促進することができました。

2年間、イカ市が抱える環境問題に取り組んできましたが、問題は山積しています。常にサポートしてくれた同僚、特にイカの母ともいえるミリアン・コルテス・セアさんが、私の帰国後も問題の解決に向けて、継続して取り組んでくれると思います。

「芸のできる猿になる!」という目標を掲げたことで、珍しいもの見たさで人が集まってくれました。それを多くのイケーニョ(イカの人)がサポートしてくれたおかげで、無事に2年間の活動を終えることができそうです。ここで出会えたすべての人、日本で応援してくれたすべての人に感謝します。

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イカにあるオアシス「ワカチナ」

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同僚のミリアンさんは、イカの母ともいえる存在(右が筆者)

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モデル校での「水」に関する授業


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同僚とともに「清掃キャンペーン」を実施

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リサイクル業者の調査を行う筆者(中央)

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クリスマスに向けたリサイクルアートイベント


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