ペルー最南端の地での柔道指導

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私はペルー最南端にあるタクナ州の州都タクナ市に住んでいます。人口は約30万人。チリと接しているということもあり、毎週末多くのチリ人が訪問し街はにぎわっています。

青年海外協力隊員として、ペルー体育庁(IPD)タクナ支部にある柔道クラブで約40人の子どもたちに柔道を教えています。柔道発祥の地、日本から見て、地球の裏側にあるこの地では、まだまだ柔道の認知度は高いとは言えず、柔道と空手を明確に区別できていない人もいるくらいです。そのような状態でしたので、私が着任した当時、日本的な礼法はおろか、帯の結び方やルールを知らない子どもがほとんどでした。

一方、私の方も着任したころは、指導にあたって言葉の壁に苦しめられました。着任前に勉強したとはいえ、すぐに指導できるほどのスペイン語を話せるわけもなく、「言いたいことも言えない」。そんな日々に落ち込んでいた時もありました。

しかし、このままではいけないと勉強を始め、分からないことについて身振り手振りを交えて質問をすることにしました。すると、徐々に同僚や子どもたちが協力してくれるようになりました。その甲斐もあって今では同僚や子どもと冗談を言って笑いあえるようにまでなりました。

着任当初、誰も柔道の基本を知りませんでした。そこでまず基本指導に重点をおきました。しかし、実戦形式の練習を好むペルーの子どもたちにとって私の練習メニューは好まれず、不満をもつ子どもがほとんどでした。そこで基本練習の中にもゲーム的要素を取り入れるなどして子どもたちが楽しく基本練習に取り組めるように工夫しました。

タクナの地を初めて踏んで1年ほどたつと、指導をしている教え子たちが徐々に試合で勝てるようになってきました。そのころから生徒達の練習態度が変わり、基本練習にも意欲的に取り組むようになりました。

そして、私の2年間の活動の締めくくりとなる2016年5月、「JUDEJUT」という、ペルー・ボリビア・チリ・アルゼンチンの4ヵ国からそれぞれ5チームずつが参加する大会で、教え子たちが金メダル3つ、銀メダル2つ、銅メダル5つとIPDタクナの柔道チーム始まって以来の好成績を収めました。

小さな成功かもしれませんが、武道を教える者のひとりとして、目に見える形で成果を残すことができて、貴重な経験をすることができました。

そして、教え子たちの成長をうれしく、そして頼もしく感じました。彼らには、これからも柔の道、そしてそれぞれが選ぶ道で、この成功体験を糧に先に進んでもらいたいです。

ふと、振り返るともっと彼らに教えてあげられることがあったのではないかという思いもありますが、私は彼らの可能性を信じています。

そして、私自身も教え子たちに負けないよう、このタクナの地で2年間学んだことを生かし、帰国後も努力していこうと思います。

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チリのチームを迎えての合同練習会

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中学校で柔道のデモストレーション

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かつてのJICAボランティアがペルーを再訪し、合同講習会(左が筆者)


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教え子を相手に組手の指導

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アンデス国際大会のメダル獲得選手たちと

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体育庁タクナ支部柔道教室の参加者たち


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