パンフレット「レンガ君、真実を語る」発行-地震国ペルーの耐震意識向上に-

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ペルーは日本と同じ地震国で、1970年のアンカシュ地震では死者不明者が約7万人という悲劇が起きました。私は建築ボランティアとして同国の住宅建設上下水道省(以下、住宅省)に配属され、地震に対して脆弱な住宅の対策をお手伝いする機会をいただきました。

ペルーの住宅が日本と最も違うのは、レンガを多用していることです。古い建物の場合、日干しレンガを見かけますが、現在建てられる住宅の多くは、工場生産で空洞のある焼成レンガです。

雨のほとんど降らない地域では屋根を頑丈に作る習慣がないので、何年もかけて1階、2階、3階と上に積み重ねて増築することが普通に行われています。この場合、耐震面の検証のないことが多く、レンガ壁への過剰な依存、柱の不足、貧弱な梁(はり)、などが見られます。

私は、それらのレンガへの過信を抑制するために、啓発パンフレット「レンガ君、真実を語る」を企画提案しました。配属先の局長の賛同を得て編集チームを編成。全4ページのパンフレット1万部の印刷にこぎつけ、フィールド調査チームによって市民に街で配布・説明することができました。

また、小学校への訪問教育や首都圏外の講習会などで、私の知らないうちに活用されており、上手く仕掛けを引き渡せたという達成感も味わえました。さらには、ささやかですが横の連携として、同じJICAボランティアの配属先に、子どもたちへの教育用としてお渡ししました。

【パンフレット立案前のペルーの状況】
人々がレンガを使う際の基本的な注意事項を教える冊子が住宅省になかった。
レンガを擬人化した漫画キャラクターが住宅省の広報マスコットとして存在していた。
地震による建物の危険に関する国民の意識が薄い。

【パンフレットの戦略】
家屋の安全を漫画にして子どもを感化し、その子どもが家庭に持ち込む情報に、親も耳を傾けてもらう。
大人も漫画は好き、テレビやスマホの普及により簡単で短いメッセージを好むという傾向に便乗。
写真で例として問題のある住宅の説明する場合、所有者の同意が必要だが、漫画なら不要。
A5サイズ4ページの冊子なら安く大量に印刷でき、手荷物として運搬が可能。
漫画を見せながらであれば、専門家ではない多くの職員により気楽に説明しやすい。

【構成内容】
1ページ目:伝えたい概要「僕の友達・僕の弱点・僕の心配事」
2ページ目:柱さん・梁さん・基礎さんは僕の家族、高い所からのレンガ崩落はすごく危ない
3ページ目:配管工事でレンガを切ると壁が弱くなる、湿気で微生物などがレンガ壁を弱くする
4ページ目:ペルーで最近80年間に起きた大きな地震20件の一覧

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提案時に下絵として描いた「レンガ君ファミリー」

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2ページ目は柱・梁・基礎(鉄筋コンクリート)の重要性について

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4ページ目には、ペルー最近80年間の地震20件を列挙


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補強援助制度の戸別訪問時、パンフレットを使い子どもに解説

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学校前の公園で子どもを迎えに来ている母親たちにも解説

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専門技術者向けのセミナー会場で資料として配布


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