母親と子どもを笑顔に バングラデシュで広まる日本式母乳マッサージ

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バングラデシュでは、建国当初47歳だった平均寿命が72歳(2015年時点)にのびるなど、堅調な経済成長とともに保健指標が大きく改善しています。しかしその一方で、5歳未満の約半数が慢性的な栄養不良、約15パーセントが栄養失調に苦しんでおり、新生児の5人に1人は体重が少ないままで誕生しています。乳幼児期の栄養失調は成長を妨げ、特に妊娠初期から2歳児までの「最初の1000日間」の栄養状態はその子の将来の健康状態や、学習能力に影響することが指摘されています。

この国では母親の母乳が十分に出ない場合、子どもに粉ミルクを飲ませますが、栄養が不十分な上、混ぜる水の質が悪いため、子どもが下痢を起こすケースが頻発していました。母親の母乳は、子どもの成長に必要な栄養分を多く含んでおり、母乳育児を推進することは子どもの栄養改善や感染症予防、さらに大人になった後の非感染性疾患の予防にもつながります。

「バングラデシュ桶谷式母乳技術強化プロジェクト」(2014年~2017年に実施)では、母乳育児を推進するため、痛くない母乳マッサージ方法として日本で知られる「桶谷式母乳マッサージ」をバングラデシュ国内に普及する活動を行いました。

プロジェクトでは、桶谷式母乳マッサージ方法を習得する人材の育成や、桶谷式母乳外来の開設を推進しました。痛みのないマッサージ方法や母乳が出る効果、母親に優しいカウンセリングが母親や医療従事者の評判を呼んだことで、ほかの病院の医療従事者も母乳に問題を抱える母親に対し、「桶谷式母乳外来を受診するように」とすすめるようになりました。2017年には、バングラデシュ政府が桶谷式母乳マッサージを国家保健プログラムに取り入れ、5年にわたって、技術習得者の人材育成が進められる予定です。

桶谷式母乳外来を開設した病院では、母親から「痛くないマッサージで母乳が出るようになってうれしい。母乳で悩んでいる周囲の人にもすすめたい」といった喜びの声が届いたほか、技術研修を受けた研修生は「母親のみなさんが喜んでくれるのがうれしい。将来は自分の勤める病院にも桶谷式母乳外来を設けたい」と意気込み、笑顔を輝かせる姿が印象的でした。日本生まれの母乳マッサージ方法が、今後もバングラデシュ国内に広まり、一人でも多くの母親と子どもを笑顔にすることを願っています。



(関連リンク)

各国における取り組み バングラデシュ

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桶谷式母乳外来を開設した病院を訪れる母親と子ども

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乳房模型でトレーニングをする研修生

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技術者研修を終えた研修生。「私利私欲を捨て、常に技術の向上を目指し、この国の母子の健康のために尽くすこと」と宣誓


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