結ぶもの−中国と日本の生徒が文通−

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中国という国は、私がイメージする開発途上国とは違っていた。都市部では手に手に携帯電話を持ち、電動バイクが走り、街中にはWi-Fi電波が飛んでいる。乗り物の中では映像が流れ、さまざまな情報を提供している。見上げると首が痛くなるほどのビルがひしめき合っている。

中国は長い歴史を持ち、優れた技術や文化を創り出してきた。文字をはじめ今の日本にあるモノは中国由来するものも多い。日本は鎖国をしていた間も中国と通商関係にあり、さまざまな技術や思想を、中国を通じて学んできた。しかし清代末期以降の中国は列強の進出に悩まされ、また日本との戦争や国内の混乱が近代化の妨げとなった。戦争が日本に対してネガティブな印象を持つ人を生み出したのは事実であり、その点は真摯(しんし)に受け止めるべきであると考える。

一方で、中国でも別の考え方もある。日中相互が協力すれば双方が利益を得られるということ、すなわち、中国は日本の技術や資金を活用すれば自国をレベルアップさせることができ、日本は中国の市場や土地を活用すれば経済的な発展や安定が見込めるというもので、こういった考えを持つ若者は増えている。日本製の品質を評価する声は依然として高いが、製品が入ってこないので買うことができないという。また日本のドラマや映画、アニメなどは、インターネットで見ている。ここから「日本のことを知りたい」という気持ちを垣間見ることは間違いであろうか——。

現在、私は青年海外協力隊員として、中国東北部、吉林省梅河口市の中学校(日本の中学・高校に当たる)で日本語を教えている。その生徒たちと、派遣前に勤めていた香川中央高等学校の生徒たちの間で、2月から文通を始めた。1時間の時差も1,160キロメートルの距離も、ITを使えばほんの数秒で飛び越えられる時代に、1週間かけて届いた手紙を手にしたときの、生徒たちのうれしそうな顔を見ていると、国家間が、大人たちが、どうあるべきなのかが見えてくるように思う。

過去の出来事や駆け引きなど関係なく、海を越えた場所に友だちがいる。国籍が違っても自分と共感する人がいると思うだけで、次の一歩をどの方向へ踏み出すべきかが分かってくるのではないか——。文通をきっかけに、中国語を学び始めた日本の高校生もいる。

すぐ隣の国なのにお互いに何も知らない。知りたいと思いながらも、真の部分を自分で感じるすべがない。両国を隔てている海はそれほどまでに深く広いのだろうか——。誰かがつなげば、つながる人が増えれば、もっと歩み寄れるのではないのだろうか。私は青年海外協力隊員として、その機会を得られたことに感謝すると同時に、自分の役割を見いだした思いである。

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香川中央高校2年生から届いた手紙。相手への思いが伝わってくる

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自前の便せんを使ったり、プレゼント交換をしている生徒も

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