日本語スピーチコンテストを通して変わっていく生徒たち

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「中国ってどんな国?」と聞かれた際に、「中国といっても国土も人口も大きくて多種多様なので、一言で表現するのは絶対無理!」というのが、2年の派遣期間の終了を目前に控えた私の率直な回答だ。

中国の日本語学習者事情だけを考えても、留学生や観光客として日本へ頻繁に行っている日本語学習者もいれば、日本に行ったことはないけど、さらには、本物の日本人に会ったこともないけど、アニメが好きだから、日本に興味があるからという理由だけで、日本語を勉強している学生たちも多くいる。  

私の配属先である武漢市財貿学校(高等学校)で日本語を勉強する生徒たちも、後者の一例だ。同校では、この2年間で、「日本語スピーチコンテスト」による日本語の練習・発表という文化が根付いた。これは、日本語を勉強している生徒たちに、その勉強した日本語を使って、何かを成し遂げる機会を提供したいという私の思いに賛同してくださった日中両国の人たちの力によって根付かせることができたものだ。

同校主催でアットホームな雰囲気の中で行われる校内のコンテストから、他校と合同主催のコンテスト、さらには日本大使館やその他関連機関が主催する公的な全国高校生を対象としたコンテストまで、この2年間、生徒たちと一緒にさまざまな形態の「スピーチコンテスト」を経験することができた。そして、それらを通して変化していく生徒たちを身近に感じることもできた。

「日本語スピーチコンテストに挑戦する」という目標を設定したことで、生徒たちの日々の日本語学習に自発性が芽生えただけではなく、学年や学校が異なる生徒たちが、コンテストを通してつながるようになった。

コンテストで堂々と発表する憧れの先輩と、その先輩の背中を追いかける後輩たちがつながり、互いに協力し、切磋琢磨する姿を目にするようになった。赴任当時、中国で「小皇帝」と呼ばれる、一人っ子でわがままな若者を揶揄する言葉に、どことなく当てはまる印象を受けた配属先の生徒たちだったが、この2年間で自立し、お互いに認め合い、そして協力し合うようになった。

そして2016年4月、「全国高校生日本語スピーチコンテスト華中南予選」では、校内代表の学生が一等賞をとり、翌月の北京での「全国大会」にも参加するなど大きな足跡を残す。

彼らが、スピーチコンテストに向けて必死に努力した日々の中で得た、「文章作成能力」「人前で発表する勇気」「日本語能力を自発的に鍛えることができる継続能力」「先輩と後輩の交流」は、今後、彼らがどの分野に進むとしても、大きなプラスになることは間違いない。

今後ますますいろいろなことを経験し、大きく成長していくであろう彼らに負けないように、そして、恥ずかしくないように、私自身もこれからさらに精進し、残り少ない任期の中で彼らとともに切磋琢磨していけたらと思う。

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スマートフォンを使ってスピーチ原稿を暗記する1年生

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予行練習を行い、お互いにアドバイスし合う2年生

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2年間で劇的な進化を遂げた3年生


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「第1回武漢市財貿学校スピーチコンテスト」(最前列左から4人目が筆者)

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「第2回武漢市財貿学校スピーチコンテスト」

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全国大会でも活躍するようになった生徒


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