伝統医療

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伝統医療。東ティモールに来るまではあまりなじみのない言葉でしたが、私が国立リハビリテーションセンターでの活動を始めてたった数週間で、早くもこの伝統医療を知ることになりました。

骨折後に寝たきりとなった若い男性の家へ、同僚と共に訪問に行った時のことです。男性はおそらく下腿骨(かたいこつ:ふくらはぎの辺りの骨)を骨折しているということでしたが、その傷口には何やら赤い粉末が沢山塗られていました。まずは私が状態を確認しようと手を伸ばした時、ものすごい勢いで同僚たちに静止されました。同僚の説明によると、男性は骨折後も病院には行っておらず、祈祷師による伝統医療を受けており、このような場合、女性は患者の身体に触れてはいけないということでした。私は性別など関係なく医療に従事している人間としては治療をしたいと思っていたので、強い憤りを覚えました。さらにこのように病院には行かず、伝統医療だけを信じる人はまだ多いと同僚から聞かされました。

全13県に対したった8つの病院しかないこの国では、病院へのアクセスの問題などから、まだまだ西洋医学が浸透していません。実際に地方巡回に同行した際にも、寝たきりで褥瘡(じょくそう)ができてしまったけれど、近くに医療機関がなく、そのままにされている子どももみてきました。

薬草を煎じて飲むといった伝統医療は、時に軽い下痢症状などには効いたりと、医療機関から遠い地方部では大きなよりどころになるのかもしれません。しかし、一刻も早く病院での処置が必要なケースもあります。「病院に行くと足を切られる」と言って病院を拒絶する患者家族に対して、不安を取り除けるような説明で病院について情報提供を行うことも、ここでの私の大事な活動の一つです。

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文章内の男性同様、左下腿骨の骨折後に伝統医療を受けた女性

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地方巡回で訪れた村。大半がわらぶきの家

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地方巡回で出会った子どもとその母親。全身の拘縮(こうしゅく)も進んでいました


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傷口が壊死し始めている患者に、同僚たちが必死に受診を勧める

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