「お米があれば、それで幸せ」 東ティモール

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私は東ティモールで栄養士として活動しています。活動する中で、食べ物に関する考えや言い伝えを現地の方からたくさん教わりました。現地の伝統や文化を尊重したいとは思いつつ、「栄養」や「健康」のことを考えると、どうすべきか悩むこともあります。その一部をご紹介します。(注:個人、地域で異なります)

【お米について】

・お米を食べないと食事をした気にならない。
・お米でおなかいっぱいにしないと眠れない。
・おなかが空いている時、ほかに食べるものがなければ、ご飯(お米)のおかずはインスタント麺でも十分。

ポルトガルによる植民地時代に入ってきたパンも朝食に食されますが、夜はお米が必要という方が多く、皆さんとにかくお米好き、お米があれば“Kontenti(幸せ)”。

【食べ物とお金について】

・野菜は少し、お肉・卵は週に1回。お金は子どもの学校、結婚式や結納品(牛・馬・ヤギ・刀)や親戚へのお祝い、家(大家族が多い)を建てるためなどに貯金しておきたいから。
・冠婚葬祭では豪華に牛、豚などのお肉料理を振る舞う。
・農家はお米があれば他に仕事をしなくても安心。あとは野菜を庭から探すだけ。
・卵は売ってお金を稼ぐためのもの。
・携帯電話は必需品で電話代もかかるからと、昼食は我慢。

同僚栄養士の家庭は5人家族で、食事代は平均1日14ドル。彼女の1ヵ月分のお給料では1ヵ月の食材費を賄えません。東ティモールの家族は、一家族平均10人から13人。自給自足でない限り、野菜・肉・果物すべてが高価なので、おかず(野菜)を行き渡らせるためには、一人分は少量になり、たくさんのご飯(お米)におかずを少しというのが一般的な食事です。

【言い伝えやタブーについて ※( )内はその理由】

・父が食べてはいけない食べ物は、自分も食べない。(病気になってしまう)
・男児は鶏の手羽肉を食べてはだめ。(将来、伝統的な家(かやぶき屋根)を作れなくなる)
・結婚前に女児も鶏の手羽肉を食べてはいけない。(将来、家事ができなくなる)
・実が合わさって双子のようになった奇形の果物(バナナや木の実)を女性が食べると、将来の子どもが、双子になる。
・妊娠時、魚・卵・タコを食べると出産時のコンディションに影響する。食べ過ぎも注意。(赤ちゃんが大きくなり、出産が大変になるのが怖い)
・雨期(11月頃~3月)に入ったら、トウモロコシ・スイカ・きゅうり・唐辛子などの新物は、売っていても食べず、雨期が明け、お供えしてから食べる。(実家の畑に牛が入って、育てている作物を食べてしまう)

現地の方は魚や犬肉など、食べてはいけない食材の話、地元食材自慢など食事の話題で盛り上がります。私も現地の方にならい、熟れていない果物に塩と唐辛子を付けていただきましたが、辛くて涙、みんなの笑いを誘いました。

日々、健康面からも食事を考えてほしいと、食べ物の効能やタブー食材の代わりに何を食べたらいいかを今後も考え、伝えていきます。



(関連リンク)

各国における取り組み:東ティモール

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