今、ここで、ここにある物で、この人たちと作る一皿

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昨年9月ごろ、東ティモールで知り合ったレストランのオーナーに誘われて「ツールドティモール」という自転車レースに料理班として参加しました。ティモールの食事はとにかく揚げ物が多く、味付けも濃いのが特徴です。レースはティモール人よりも海外の選手が多いとの情報もあり、味付けの基準を決める際には私の意見を聞き入れてもらいました。

レースがスタートし、食事の時間になると、海外選手が現地ボランティアスタッフに話しかけていました。「ベジタリアン向けのメニューが豆のスープしかない」とのこと。聞くとベジタリアンの選手はほかにも参加していたので、早急に対応メニューを作ることにしました。また協力隊員の先輩も選手として参加しており、「カロリーや栄養を取るためにたくさん食べたい」と話していました。「ちょうどいい」味付けだと飲物を飲んでお腹が膨れてしまうため、味付けを薄くし、食材もなるべく小さくカットしてかむ回数を減らさせることで、たくさん食べられるようにしました。その場にある食材で選手の体づくりをいかにサポートするかを考える、良い経験になりました。

数カ月後、このオーナーが自分のお店を改装したとき、オープニングの手伝いをしました。彼はティモールの食材をブランド化したいと考えており、地産地消の発想を大切にしている人です。ティモールの食材は輸入に頼っている部分が多く、特に野菜に関しては、地方からの輸送費がかかることに加え、その質もそれほど高くないので、諸外国から安く大量に入ってくる物に太刀打ちできていないのが現状です。それでも国産の食材にこだわりを持っているので、お店のオープニングセレモニーでは応援に駆け付けたポルトガル人シェフとともに、3人でティモールの食材を使った各国料理を1枚のお皿に盛りつけて提供しました。

東ティモールが開発目標として力を入れている分野に「観光」がありますが、料理に関してはまだ閉鎖的に感じます。食べたことがない物には手を出さないし、調理方法も炒めるか揚げるだけで完結しています。それでも、海外の人と料理をしたり、一緒に食事をしたりする機会を通して、5年後、10年後に増えるであろう観光客に対応できる準備の手伝いをしていければと思います。



(関連リンク)

各国における取り組み 東ティモール

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配属先の職業訓練校で。オレンジの飾り切りの授業

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ツールドティモール期間中、肉類は主にバーベキューとして提供

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ボランティアや医療班たちは選手のレース中に食事をとります


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左からポルトガル人シェフのルイス、レストランオーナーのセザール、筆者

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3人で作った前菜(冷製スープ、コロッケ、豆腐サラダ)

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揚げ出し豆腐はビーガン(完全菜食主義者)メニューとして採用


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