私は、あなたと出会うためにキルギスに来た

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私は今、キルギスという国にいる。中央アジアに位置し、国土全体の40パーセントが標高3,000メートルを超える山岳国だ。私は首都のリハビリテーションセンターに理学療法士として派遣された。同僚とともに患者さんに治療を行い、産科病院では小さく生まれた赤ちゃんの発達支援も行っている。また、村の学校を訪問して手洗いや歯磨き、栄養指導など地域の活動も開始した。

現地で一番大切にしていることは、現地の人と同じことをとにかく一緒にやってみることだ。文化や言語、この土地でのやり方などたくさんのことを教えてもらった。その中で、自分の専門分野にとらわれないことが大切だと気付いた。私は理学療法士として派遣されたが、じゅうたんを洗ったり、料理の手伝いをしたり、ペンキを塗ったりと、日本で理学療法士をしていたときには絶対にやることがなかった仕事をたくさん経験した。そこで、仕事中は分からなかった現地の人の考えや思いを知ることができた。

2年という派遣期間の中で、現地の人のために何ができるのか、もっと良くするためには何ができるのか、と一人で悩んでいたときは、うまくいかなかった。しかし逆に、現地の人と一緒にやって、一緒に悩んだり喜んだりしたとき、驚くほどうまくいくのだ。

キルギスに来て1年10カ月が経った。最初は私がキルギス人に「一緒にやろう」と声をかけていたのが、今ではキルギス人が私に「一緒にやろう」と声をかけてくれる。それが、とてもうれしい。現地の人からは教えるどころか、教わることばかり、助けてもらうことばかりだ。

多くの隊員は派遣国を自分で決めることはできない。行きたい国と違った、違う配属先が良かったということもある。私もその一人だった。しかし、派遣先になった国が運命の国であり、そこで出会う人たちは運命の人なのだ。キルギスに来た当初は「私は、何のために来たのだろう」と本気で思った。それが今では、「私の周りにいてくれるキルギス人と出会うためにキルギスに来た」と胸を張って思える。協力隊として派遣されなければ、知ることさえなかった未知の国、キルギス。毎日を生き、一緒にご飯を食べ、笑顔で冗談を言い合い、時には本気でけんかをする。そんなことすべてが、キルギスに来てとても尊いことだと感じるようになった。そして、国際協力というのは、目の前の人を笑顔にすることなのではないかと思った。



(関連リンク)

各国における取り組み キルギス共和国

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産科病院で発達支援活動をしている様子

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同僚たちと食事会を開き、互いに自国の料理を作った

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子どもたちに歯磨き指導を行い、歯磨きの歌を歌っているところ


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現地の同僚の治療により子どもたちはよく笑うようになった

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患者の家を訪問し熱心に運動指導をする同僚

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年越しには同僚の家で一緒に料理をした


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