ラオスの国民性と「5歳未満児死亡率71.4/1000」の現実

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5歳未満児死亡率71.4/1000とは、出生1000人中71.4人、つまり100人中約7人が、5歳を迎えられずに死亡することを意味している。ラオスへの赴任が決まり、国の概要を調べていた中で目にとまった数字だ。ラオスの合計特殊出生率(注1)は3.11人。これらを基に計算すると、なんとラオスの母親の約5人に一人が5歳未満の子どもの死を経験することになる。

「これが後発開発途上国(注2)と呼ばれる国の現状か...」と妙に納得した。人々は衣食住の確保に時間の大半を費やし、もっと良い暮らしができることを日々願う、ゆとりのない切実な毎日を過ごしていると想像していた。

ところが、現実は全く違っていた。赴任してから半年間、見てきたラオスの人々はとても幸せそうである。いや、実際に「幸せだ」と言う。何が幸せなのかと聞くと「家族といる時間」「(友人を含め)皆で食事をする時間」といった答えが返ってくる。日々幸せを感じているのである。生活レベルや年代に関係なく、ほとんどのラオス人がそう感じているようだ。

出発前の私の想像とは全く異なり、常に幸せを感じて生きるラオス人。そんなラオス人の国民性を「もてなしの精神」「寄付の文化」「正直者」という観点から紹介する。

冠婚葬祭は自宅の敷地で行われることが多い。主催者が料理と酒(主にビール)を用意して、時には数百人規模になる来訪者をもてなす。その感覚の延長なのか、誕生日には、主役が友人を自宅に招待し、食べきれないほどの料理をふるまってもてなす。

ラオスでは喜捨(きしゃ)(注3)が人々の生活に浸透している。早朝に僧侶が市中を回る托鉢(たくはつ)(注4)への喜捨、ちょっとした祝いごとなどで僧侶を呼び、行われる喜捨などである。またラオスでは物売りが非常に多い。レストラン、バスの中、職場などいろいろな場所にやってくる。そして毎回、「必要はないけど、物売りの人が来たから」という感じで購入する人を見かける。これも寄付に近い感覚ではないかと私は思う。

そして、ラオスの人々は「正直者」が多いようだ。だから、ぼったくられることがほとんどない。値段を聞くと、大抵標準価格を言ってくれる。偽ブランドをよく売っているが、「これは本物?」と聞くと「いや、偽物だよ」と笑顔で答えてくれる。

幸せな暮らしといい、来訪者に親切な国民性といい、ラオスはこのままでいいんじゃないかと思ってしまう。ラオス人自身もこのままでいいと思っているように感じる。

しかし、冒頭に挙げた5歳未満児死亡率の高さは対処すべき問題だ。ラオス人は子どもの死に対して悲しむが、「そういうもの」だと受け入れることが当然になっているようだ。こういった部分はこのままではよくない。それは改善できる問題である。彼ら自身が問題だと気付き、改善に動いてもらうためにはどんな働きかけをすればいいのか——。今はまだわからない。もっと深く彼らを理解する必要がある。

(注1)1人の女性が生涯に何人の子供を産むかを表す数値のこと。死亡率、合計特殊出生率ともに世界銀行の発表による。
(注2)国連総会で認定された開発途上国の中でも特に開発が遅れた国々。
(注3)寺社や僧、貧しい人々に金品を寄付すること。
(注4)修行僧が鉢を持って市中を歩き、家々をめぐって施しの米や金銭を受けて回ること。

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ラオ人の幸せな時間。ピクニックに出かけて皆で食事をとる

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休日は皆でビールを飲みながらペタンクという遊びを楽しむ

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結婚式。テーブルには料理と酒。主催者がもてなしてくれる


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ラオスのお寺。仏教行事の日には早朝から住民が寺に集まる

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仏教行事で、花、菓子、もち米、お金などを喜捨する人々

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