ニッポンのセンセイがミライの国際協力をつくる

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国際協力とは何か——。途上国に道をつくること、ダムをつくること、教育の質を高めること、日本の技術を伝えること...など、途上国に住む人々への働きかけを「今」行うことが思いつくのではないだろうか。しかし、「未来」を見据え、グローバル社会に踏み出す子どもたちに、世界の中の日本と自分を知るためのきっかけをつくるのも大切な国際協力の現場である。

「教師海外研修」はJICAが実施する開発教育・国際理解教育の支援のうちの一つだ。日本の先生に途上国の現状やJICAの支援を知ってもらい、授業づくりに役立ててもらうための事業である。今年は8月4日から13日までの期間、モンゴルで実施された。東京、長野、群馬からの参加者計10人がモンゴルの孤児院や高校の訪問、遊牧民の生活体験、青年海外協力隊隊員の活動視察、無償資金協力で建設された環境資源センターなどを見学した。

研修に同行して驚いたのが、参加者の教材収集への熱意だ。「多様性」という無形物を生徒に伝えるために、モンゴル語の絵本や地図、虫、植物、食べ物、民族衣装を集めるのはもちろんのこと、バス移動中にアスファルトがはがれた道を通ると「この道の写真を撮りたいのでバスを止めてもらえますか」と言って写真を撮り、撮影後「道一つとっても日本と違う様子を伝えるんだ」と話していた。また参加者の一人は次のように語っている。

「今回の研修でJICAの多様な活動や事業概要を学び、国際協力の現場で起きていることを生徒に伝える必要性を感じました。生徒たちには『世界の中の日本』という視点で、高校生の自分たちにできることを考え、主体的に行動しようとする姿勢を持ってほしい。帰国後の授業では、総合的な学習の時間やホームルーム、英語の時間を使って、日本とモンゴルの違いを知り、その中から課題に気付き、国際協力について学ぼうとする姿勢を育成することを目指します。モンゴル経済が諸問題を乗り越えて持続的に発展するよう、モンゴルの抱えている課題を知り、行動を起こす生徒が一人でも増えるようにしたい」(高校英語科教師)

中学生の時、家庭教師が旅行で訪れたカンボジアの子どもたちの写真を見せてくれた。この時受けた衝撃が、私が国際協力に興味を持つきっかけになった。今回の参加者が受け持つ子どもたちの中から、近い将来「学校で先生から受けたモンゴルと日本に関する国際理解教育の授業が、JICAを志すきっかけでした」という職員が現れるかもしれない。

教師海外研修は、未来の国際協力を担う子どもたちが、テレビやインターネットを通じてではなく、先生の生の声を通じて、「途上国とは?」「国際協力とは?」、そして「世界の中で自分や日本ができることは何か?」を考えるきっかけづくりをサポートする事業である。日々子どもたちの教育に取り組む先生が、自分の体験に基づいて届ける授業には、私が中学生の時に受けた衝撃よりもインパクトがあるに違いない。そして、それは一つの大切な国際協力の現場である。

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孤児院で子どもと腕相撲をする「教師海外研修」参加者

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協力隊員へのインタビュー

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「遊牧民体験」で歓迎を受ける


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