モンゴル初!アスレティックトレーナーの誕生に向けて

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近年、モンゴルのスポーツ分野は目覚ましく発展し、オリンピック、世界大会などでの成績が向上しています。国民もスポーツが大好きで、氷点下になる冬場でもできる室内競技を中心に、老若男女問わずスポーツを楽しんでいます。

しかし、スポーツでのケガの予防や応急処置、ケガ後のスポーツ復帰を目的とするアスレティックリハビリテーション、身体をベストな状態にするためのコンディショニングなどの知識、技術は普及しておらず、指導できる専門的な人材も不足しています。特にアスレティックトレーナー(注1)という職種はなく、医師やコーチがその役割を担っているのが現状です。

モンゴルには体育やスポーツの指導者を育成する大学が5校あります。その内の1校、モンゴル国立体育大学は、1997年にスポーツリハビリテーション指導学科を設置し、国内で唯一アスレティックトレーナーに近い人材の育成を行っています。しかし、大学で使用している授業のカリキュラム内容と教員らの経験は十分とは言えず、方向性も定まっていませんでした。

このような中、モンゴル初のアスレティックトレーナーを育成したいという、モンゴル国立体育大学からの依頼で、8月18日から9月29日までの約1ヵ月間、青年海外協力隊員が派遣されました。

今回、現職参加制度(注2)を利用して派遣された櫻井規子隊員は、日本体育大学で助教として学生を指導する傍ら、日本体育協会公認のアスレティックトレーナーとして、ラグビー女子7人制ユース日本代表チーム、バトミントン日本代表チームなどで活動しており、モンゴル国立体育大学が心から望んでいた、経験と能力を持ち合わせた人材です。

櫻井隊員は1ヵ月という短い期間に、教師や学生などを対象に講義や講習会を行い、アスレティックトレーナーの役割、テーピング、ストレッチング、スポーツ現場における応急処置の方法などを指導しました。モンゴル国立体育大学の関係者は「アスレティックトレーナーの概念や意義を知り、今後の指導の方向性や学生の進路開拓について明確にすることができた」と語り、引き続き同分野の隊員の派遣を希望しています。

櫻井隊員のボランティア活動は、短期間でしたが、モンゴルのスポーツ医科学にとって大きな一歩になったと確信しています。この協力をきっかけに、いずれはモンゴル人初のアスレティックトレーナーが誕生し、2020年の東京オリンピックにはJICAボランティアの教え子がモンゴルナショナルチームのトレーナーとして活躍しているかも知れません。その日を夢見て、私はJICAモンゴル事務所のスタッフとして、支援を続けていきたいと思います。

(注1)日本では財団法人日本体育協会が「アスレティックトレーナー」の資格を制定している。医師やコーチと協力し、競技者の健康管理や傷害予防、スポーツ外傷・障害の救急処置、アスレティックリハビリテーションやトレーニング、コンディショニングなどに当たる。
(注2)社会人が休職などの形で勤務先に籍を置いたまま、JICAボランティアに参加する制度。

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講義をする櫻井隊員(正面中央)

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新しい知識を吸収しようと学生のまなざしは真剣そのもの

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座学だけでなく、実習で実践的な力を養う


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モンゴル相撲の選手にテーピングを指導する櫻井隊員(右)

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