先生と子どもたちの楽しい理科の授業のために

Twitter Facebook はてなブックマーク メール

「やっとここまで来ることができた」。2014年10月、モンゴルの首都ウランバートルにあるチンギスハーン空港に降り立ったとき、そのような思いで満たされていました。

いつのころからか、大学卒業後の進路として、「海外の教育環境が十分に整っていない地域で教育に携わりたい」と考えていました。そして自然と目標に定めたのは「青年海外協力隊」。ただ、教諭としての経験がないままでは何の役にも立てないと思い、卒業後は公立学校教諭になりました。そして働くこと11年。この間、「いつか参加したい」と思いながら長い年月を過ごしました。

転機になったのは4年前。交通事故に遭い、運が悪ければ死んでいたかもしれないと思ったときでした。「このまま参加せずにいたら悔いが残る」と、退職して協力隊に参加する決心をし、やって来たモンゴル。「ここからだ」という気持ちで私の協力隊としての活動が始まりました。

私の赴任地ドルノド県はモンゴルの東の端にあり、県庁所在地チョイバルサンは首都ウランバートルから約650キロメートル離れています。県の教育文化局に配属され、理科教育専門家として小中高等学校を巡回して、実際に授業をするほか、現地の教諭の授業参観や、教諭向けにセミナーを開いて理科の実験方法を紹介しています。言葉の壁もあり、分からないことばかりでしたが、役に立ったのは、11年間培ってきた理科の教科指導の経験でした。

授業を参観してまず気になったのが「教諭の立つ位置」や「実験の見せ方」でした。これは何語であろうと関係ありません。授業に実験を取り入れた方が良いと考える教諭は多くいましたが、知識が不十分で実験が授業に生かされておらず、「そこに立ったら見えへん」「なんでそこで実験やるの」などと感じることがしばしばありました。そういった感想を踏まえて授業後の検討会でより良い授業の手法について話すうちに、教諭たちも実験を行うにも「やり方が重要」だと理解してくれるようになり、これまでの経験が役に立ったなと改めて感じています。

また、高価な道具や材料がなければ実験ができないと考える教諭も少なくなかったので、「簡単に手に入る物を使った実験」を積極的に紹介し、身の回りにある安価な物で代用しても実験ができることを広めています。県庁所在地から離れた村などでは、より物がない状況で、実験を行うのが困難です。これからの活動では、そのような村へ実際に行って、授業をし、セミナーを開催したいと考えています。

現在の活動は、かつて希望していた「学校に所属し、子どもに授業を行うこと」とは少し違い「教育局に所属し、教諭と協力して授業を良くする」ことですが、この活動は長い目で見ればより多くの子どもに対して良い授業ができるようになる、モンゴルの理科教育をより良くする方法だと今は思っています。

教諭向けセミナーでは実際に実験を行ったり、実験道具を作ったりと必ず実技を取り入れていますが、笑顔で取り組んでもらえ、やりがいを感じています。「やはり理科は楽しくないと!」教諭が楽しんで授業ができて、より良い授業になれば、理科を好きになる子どももきっと増えることでしょう。残り約1年の任期、「理科は楽しい!」この思いをどんどん広められるよう、モンゴルの子どもたちのためにも精一杯活動に取り組みます。

【写真】

県庁所在地チョイバルサン近くに広がる草原

【写真】

4月上旬、配属先の教育局の職員と共に行った清掃活動で撮影

【写真】

(パノラマ写真)


【写真】

県内の理科教諭約50人を対象に行った手作り実験道具セミナー

【写真】

6番学校で9年生に行ったカルメ焼きと重曹の分解の授業

Twitter Facebook はてなブックマーク メール