日本人なのを忘れられ同僚が怒り・・・・・・悲しいうれしいモンゴルの旧正月

Twitter Facebook はてなブックマーク メール

「アマルバイノー」

モンゴルでは旧正月が明けると、この言葉が至る所で聞かれます。モンゴル語で、「明けましておめでとう」という年始のあいさつです。二人が向かい合って両腕を前に出し、その腕と腕を重ね合わせながら、両頬の匂いを嗅ぎ合うのが、正式なあいさつの仕方です。また、相手に対して敬意や幸福の意を表す神聖な青い布「ハタグ」を用いてあいさつすることもあります。

私の任国モンゴルには、新しい年を迎える日が2回あります。まず、1月1日の「シンジル(新年)」、そして、モンゴル歴により日程が決まる2月中旬の「ツァガーン・サル(旧正月)」です。

新年は、西洋式のパーティーや音楽コンサートなどを楽しみながら年を迎えるのに対し、旧正月は日本のお正月同様、家族や親戚が集まって家で過ごします。しかし日本と違うのは、旧正月の三が日に、親戚や友人の家にあいさつ回りに出かけることです。例えば、結婚している男性の場合、まず自分の両親の家にあいさつに行き、次は奥さんの両親の家、そして兄弟の家、親戚の家、親しい友達の家、同僚の家——といったように。多い人で、一日に8~10軒の家族を訪問するそうで、日本のように「寝正月」とはいかず、とても忙しいのです。

まず訪問先の相手と年始のあいさつをし、サラダや蒸した羊肉・牛肉を食べ、お酒を飲みながら談笑します。その後「ボーズ」という小籠包のような伝統料理が必ず出されます。これを、「もうお腹いっぱいで苦しい…!」となるまで食べて、やっと家を出ることができます。このルーティーンが3日間ずっと続くのが、モンゴルで最もオーソドックスな旧正月の過ごし方です。

そんな旧正月にまつわる事件が起こりました。私の配属先、児童養護施設「太陽の子どもたち」の親しい同僚が、「旧正月の初日に私の家に来てね」と言ってくれたので、私は、勘違いをして旧正月の大晦日に彼女の家を訪れました。すると彼女と彼女の家族は私を歓迎してくれ、旧正月の料理でもてなしてくれました。

しかし、次の日彼女に会うと、「なんで今日の朝、私の家に来てくれなかったの?!」と怒っていました。私は訳が分からず、「昨日お邪魔したじゃない?」と言うと、彼女は「昨日は大晦日で、今日が旧正月の初日よ!親しい間柄の人には初日の朝、訪問する決まりなのよ!」と、とても不満そうに言いました。

それを聞いて私は、「大晦日と初日を勘違いしていたわ。もし知っていたら、必ずあなたの家を訪ねていたのに、ごめんなさい」と彼女に謝りました。すると、「私もあなたが日本人だということを忘れていたわ。ちゃんと説明するべきだったわね、ごめんなさい」と謝ってくれました。

「日本人だと忘れていた」という言葉を聞き、彼女から怒られ悲しかった半面、赴任して約1年でモンゴルに溶け込むことができたのだとうれしくもありました。残りの任期でも、モンゴル人の伝統や文化をよく理解して、モンゴルの人々のためになる活動に取り組む所存です。

【写真】

住居「ゲル」で旧正月の一家だんらんを楽しむ遊牧民

【写真】

配属先でも互いに新年のあいさつ

【写真】

旧正月の初日の出を待っている遊牧民。山には、男しか登れない


【写真】

旧正月の伝統料理「ボーズ」を蒸す

【写真】

山の中で、家畜を放牧しながら暮らす遊牧民

【写真】

夏のモンゴルの大草原


Twitter Facebook はてなブックマーク メール