ブグデーレ ヒーエ!

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「ブグデーレ ヒーエ!」は、最近私が覚えたモンゴル語の中でとりわけ好きな言葉の一つ。響きは呪文のようだが、その意味は「みんなでやりましょう!」という感じであろうか。

私が携わる「児童中心型教育支援プロジェクト(通称PROCESS PROJECT)」が始動して約9ヵ月。モンゴルの学習カリキュラム(日本の学習指導要領的役割)・教科書、授業、学習評価の三本柱が児童・生徒中心型の教育体制をサポートできるよう、国の教育の中枢機関の人たちとこの仕組みを整えている。

一般的に日本人を定住型の農耕民族と呼ぶならば、モンゴル人は移住型の騎馬民族。首都の人々の暮らしは遊牧生活とは異なるが、その気質や伝統、文化はモンゴルの国民性や習慣として失われてはいないであろう。それは日本人皆が同じ性質を持つというわけではなくとも「日本人気質」という概念が存在するのと同じことかと思う。

ここで「モンゴル人とは」を語るつもりはないが、この記事で少しだけ触れるので、私の個人的な印象と受け止めてもらえば良いかも知れない。

モンゴルの伝統家屋ゲル(ドーム型のテント)に暮らし、より豊かな牧草地を求め移動をする遊牧民は、同じゲルで暮らす家族を単位として行動してきた。隣家と玄関や軒を接する日本の暮らしとは大きく異なり、「周囲何キロかなたに隣人がいるのか?」という生活環境の中で暮らしてきた彼らは、家族をとても大切にする。

その一方、「よそ」との協働が多少苦手な側面も見受けられる場合がある(とはいえ、荒野の遠方からの旅人が見知らぬ人であっても、お茶や食事を振る舞い、暖を分け与える、そのような慣習が都会暮らしの人々の中にも今も根付いていることも付け加えておく)。

私たちのプロジェクトは、日々の活動で協働する6~7の機関が独自の専門性に基づく知識や経験だけを持ち寄ってもらえれば先に述べた教育支援の三本柱が機能するとは考えていない。互いの役割を認識し補完し合う作業を加え、三本柱の間を渡す橋を架けなければ、そのサポートシステムは成り立たないと考える。

活動は「共に考え、共通認識を持つ」をモットーとしている。それぞれが多忙な中ではあるが、ほぼ毎回どの機関が欠けることなく参加し、顔を合わせ、意見を交わして作業を進める機会を大切にしている。

「ブグデーレ ヒーエ!」はその毎回の協働の中からふと私の耳に残った言葉だった。意味を知った時、思わず笑みがこぼれた。プロジェクトのゴールは2年半後。これから先も協働しなければ活動は進まない。だがプロジェクトで同じ方向を目指す仲間とだったら、きっとそれは可能だと信じている。

困難に直面したら、この呪文を唱えよう。「ブグデーレ ヒーエ!」

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モンゴルの伝統家屋「ゲル」

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冬の到来の前に家族総出で冬用の温かいゲルを建てる

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馬に乗って伝統スポーツの競馬を観戦する人々


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長く厳しい冬。家畜を牧草のある方へ追う遊牧民の姿

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数学の試験問題を作り変える作業を行うカウンターパート

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適切な学習指導案が作成されたかを確認する研究授業


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