モンゴルの母親たち

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首都ウランバートル市にある労働社会保障省内に、私の配属先である「ウランバートル市における障害者の社会参加促進プロジェクト」のオフィスはある。私はそこの専門家として活動している。

着任して半年。職場のモンゴル人カウンターパートの多くは女性で子持ちだ。仕事、子育て、飲み会も猛烈にこなす。

ひときわパワフルなのが、カウンターパートのバトラムさん。息子さんに脳性まひがある。高校は卒業したけれど、その後、行き場がないという。

モンゴルでは、働く場所がある障害者はほんのわずか。

だからこそ、バトラムさんは省に働きかけ、JICAに協力の要請をした。そして、このプロジェクトが始まった。

「子は宝。あなたも産みなさい」と、子宝に恵まれると評判のパワースポットへ片道4時間かけて私を連れていってくれた。

もう一人、ザヤさんという知的障害がある女性の母も印象深い。

ある時、プロジェクトで障害者対象の研修をすることになった。研修受講者の募集が始まった日の翌日、ザヤさんの母親がオフィスに来て言った。「モンゴルには知的障害者が参加できる研修がない。どうかザヤを参加させて欲しい」と。何よりザヤさん本人の意欲も高い。それならば、と私たちは受け入れた。

ザヤさんの家から研修場まで、バスで2時間、外はマイナス30度。それでも一度も遅れずやって来た。母親が2週間毎日、バスで一緒に来たから。ザヤさんは無事に研修を終え、モンゴルの知的障害者の可能性を切り開いた。

障害者支援の活動の多くは、障害者たちの母親のイニシアティブで始まる。

でも母たちの願いは、いつか子どもが自分を離れ、社会に活躍の場を見つけること。それはきっと日本と変わらない。

その可能性を見出すための機会を、一つでも多く提供していきたい。

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知的障害者リーダーのザヤさんとお母さん。二人はいつも一緒

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右から2人目がバトラムさん。労働社会保障省の障害者開発課の課長を務める

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ドントゴビ県(首都ウランバートルから車で約3時間)の子宝パワースポット。岩に乗り、太陽に向かって子宝祈願をする様子


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ドントゴビ県の草原にて。カウンターパートたちとの記念撮影

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 研修修了式で家族と記念撮影をするモンゴル人研修員たち

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