遊牧民体験を通じて見えた、モンゴル人と動物の絆

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見渡す限り広がる大草原、そこに住む家畜と遊牧民。さわやかな風と花の香り。モンゴルの夏は風光明媚という単語がピッタリの美しい季節です。
 
気温がマイナス40度に達することもある厳しい冬、モンゴルを訪れる前に「一日で四季を体験できる」と言われたほど気候の変化が激しい春を乗り越え、迎えた夏は至福の一時です。

幸運にも夏にモンゴルに来た私は、休日を使って遊牧民の家でホームステイをしました。そこから見えたのは、遊牧民の生の暮らし、そして彼らと家畜たちの深い結びつきでした。

モンゴルで遊牧が広まった背景には、同地域が寒冷地であり、雨量が少なく乾燥しており、地下水も冷たく、農業には向いていないという自然要因があります。

モンゴルには2017年初頭時点で6,000万頭程の家畜がおり、その9割近くは羊とヤギで構成されています。ホームステイした家も、聞けば400年近く遊牧生活を続けており、それぞれ300頭近くの羊とヤギを飼育していました(ちなみに、1,000頭以上保有する世帯は政府に表彰されます)。

朝は日の出前に起床し、塩入り乳茶(スーテーツァイ)とウルム(バターのようなもの)を添えたパンという簡単な食事を済ませ、すぐに仕事に着手します。

まずは乳しぼりや馬乳酒作りを行います。夏のモンゴルは草が生い茂り、気候も穏やかで家畜を太らせるには最適の季節。そのためか、この時期は家畜をあまり屠る(ほふる:屠殺する)ことなく、乳製品を中心に献立を組むそうです。
 
私は一日中、馬、牛、ラクダ、羊などの動物から乳を搾っていました。ホストファーザーは放牧に出かけ、ホストマザーは羊から毛を剃っていました。

動物の毛は、防寒性の高い衣服やゲルの材料に使われ、人々を寒さから守る役割を果たします。ホストファーザーに、なぜモンゴルでは羊が昔からたくさんいるのか?と聞くと、理由は3つだと言います。

1つ目に、素材が無駄にならない(ほぼ全ての部位が衣食住の充実に活用できる。) 
2つ目に、飼育が容易(群れを作る習性、穏やかな性格、一定の機動力を有する。)
3つ目に、サイズが小さく、残して腐らせる心配がない(10人いれば一日で食べきれる。)

近年ではヤギがカシミヤを目的に頭数が激増しています。

放牧に出した家畜たちが全て帰ってくるのは夜遅く。私が就寝したのは深夜。たった一日の仕事で既に疲れ切っていました。

しかし彼らは遊牧民として生きる限り、毎日このサイクルを繰り返します。何百年も続く自然と共生する営みに、深く感嘆した週末でした。



(関連リンク)

各国における取り組み モンゴル

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このゲルで二泊。夜は寒いので薪ストーブを焚きます

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放牧される羊の群れ。最近の遊牧民はバイクも使います

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羊の顔はアップで撮るととてもかわいい


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仕事後には家庭料理を作ってくれました

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帰る直前に振る舞っていただいたモンゴルの伝統料理、ボーズ

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伝統衣装を借りて着させていただきました


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