チャレンジングな現場

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私はJICAの新人研修でパキスタン事務所に配属されている山城と申します。前回の「予防接種拡大の壁」(関連リンク参照)に引き続き、パキスタン第3の都市であるファイサラバードで進行中の「ファイサラバード上下水道・排水マスタープランプロジェクト」について報告します。

現地の人々の生活用水と飲料水は、主にボトルで売られている水と地下水です。各家庭にはファイサラバード上下水道公社(WASA)から生活用水が届いていますが、それは飲めない水で、1日に6時間しか給水されません。また、水使用量に関わらず、毎月定額の料金を徴収されるため、WASAの水道管を止めて水道料金を払わない家庭も存在します。

そこでJICA はWASAと共に、塩素を混ぜて水質を保証した飲める水を24時間供給するシステムを作り、メーター制の料金徴収を行い、WASAを財務的にも安定した組織にすることを目標にプロジェクトを行っています。また、今回の出張ではプロジェクトに関して大きく2つの課題を知ることができました。

1つ目は、先にも述べましたが、通常現地では飲料水としてボトルの水を購入するため、水道水を飲料水として飲むことに大きな抵抗があるということ。

2つ目。大前提として、上水道は決められた地域内で、蛇口から十分な強度の水圧給水をするために、配水管が図面どおりに配置されているはずです。しかし、現場調査では、1本しか配水管がないはずの場所で、複数の配水管が発見されたり、範囲外の地域まで配水管が延長されているために地域内の水圧が低くなっていたりと、課題が山積していました。そもそも図面は、現在に至るまでの各先進国の援助報告書を総括して作られているものなのですが、その正確性に重大な問題があるということを知りました。

また、現場では安全面を考慮し、現地のガードマンが同行します。彼は気温が45度を超えるような炎天下でも、狭い路地裏の民家の調査に帯同し、移動時の渋滞の際には私たちの安全のために交通整理を行ったりします。ある時、彼に「なぜそんなに頑張って私たちを護衛してくれるのか」と聞いたところ、「俺にはお前たちのやろうとしていることがわかる。水道が変わればこの街は変わる。だから、護衛業務を全うするのだ」という旨の言葉をもらいました。私は「だからお前たちもあきらめるな」と背中を押されているように感じました。

現場では、JICA関係者やWASAの職員、さらにはガードマンも、皆一体となって目標実現に向けてチャレンジを続けています。私の滞在は1週間という短期間でしたが、関係者がそれぞれの立場で共通の課題に取り組む姿を見て、今後JICAの業務に携わる上での強烈なモチベーションを得ることができました。



(関連リンク)

予防接種拡大の壁(2017年10月31日掲載 山城 舜太郎(職員、熊本県出身))

(畜産)適正技術の開発を通じて人を育てる(2017年12月15日掲載 山城 舜太郎(職員、熊本県出身))

ファイサラバード上下水道・排水マスタープランプロジェクト

各国における取り組み パキスタン

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飲料水用ボトル

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現場調査の様子

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現地のセキュリティガード


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図面上は1本だが現場では2本見つかる

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地下水をくみあげる電動ポンプ

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調査中は現地スタッフと逐次確認


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