(畜産)適正技術の開発を通じて人を育てる

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私は現在JICAの新人研修で、パキスタン事務所に配属されている山城と申します。これまで「予防接種拡大の壁」「チャレンジングな現場」と2つの記事を投稿しております(関連リンク参照)。第3回はパキスタン最大の都市カラチから車で3時間、シンド州の都市ハイデラバードで進行中の「シンド州持続的畜産開発プロジェクト」について紹介します。

パキスタンでは乳牛として水牛を飼育しており、牛乳は高値で取引されています。水牛の頭数はインドに次ぐ世界第2位で3,100万頭も飼育され、牛乳生産量は世界第4位の約3,550万トンです。1頭当たりの搾乳量を上げるには飼養管理や、家畜衛生に関する知識や技術が必要となりますが、現地の農家は十分な知識を有していない状況です。

そこで、JICAはパキスタンのシンド州畜産局と協働で、搾乳量を上げるための現地に合った技術(適正技術)の開発を行っています。

牛と水牛は染色体の数が10~12本も異なるため、全く違う動物です。また、水牛に餌として何を食べさせるかは、搾乳量に多大な影響を与えますが、餌の原料は周辺農家の雑草や、果樹の葉であるため、搾乳量は周辺の環境に左右されます。つまり、このプロジェクトは日本の牛の飼育技術をそのまま使えず、現地の気候や植生など、さまざまな事項を考慮していかなければならない現場であることを知りました。

本プロジェクト視察の出張初日、適正技術開発分野でリーダー的役割を担っている冨永専門家より、「国際協力とは技術を通じて人を育てることだ」と伺いました。

同出張前まで私は、「日本の優れた専門家が技術を開発すればそれで済むのではないか」と考えていました。しかし、専門家が去った後は誰が技術改良を行うのか、また、専門家とはいえ、現地の環境や住民の考え方に関して100パーセント完璧に理解することは難しく、そのため現地スタッフを育成することが重要だと知りました。

冨永専門家から「畜産局の職員を育成するために、全員で目標を共有し、上手くいかない時もほめることを忘れないようにしている。現地スタッフと同じ目線で、より良い技術の開発のため組織一丸となって取り組む体制づくりを目指している」と伺った言葉が強く印象に残っています。

途上国が抱える課題は、複雑で一筋縄ではいかないものばかりです。そのため、知識や技術指導だけでなく、人を育てる視点を持つことで現地スタッフの習熟度や当事者意識が変わることを学びました。

本出張を経て、将来JICA職員として案件作成に関わる際には、「人が育つかどうか」という判断基準を持ち、より持続性のある案件を提案できるようになりたいと思いました。



(関連リンク)

予防接種拡大の壁 2017年10月31日掲載 山城 舜太郎(職員、熊本県出身)

チャレンジングな現場 2017年11月28日掲載 山城 舜太郎(職員、熊本県出身)

シンド州持続的畜産開発プロジェクト

各国における取り組み パキスタン

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適正技術開発に向けデータ収集(1)(牛の胸囲を測定)

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適正技術開発に向けデータ収集(2)(現地の材料で作った体重計)

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繁殖能力を確認する睾丸検査


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技術ワーキンググループ会議の様子

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牛乳をマーケットに運ぶ

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牛の糞は乾燥させ燃料として利用


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