JICAの職員って何してるの?

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JICAと聞くと「あぁ~、井戸掘りとかするんでしょ?」とか、「村に入ったりして大変なんでしょ?」と多くの一般の方々がボランティア事業をイメージされます。実際、JICAの職員は海外の事務所で何をしているのでしょうか。

私は、大きなインド洋のインドの右下で涙のしずくのような形をした島国スリランカに事務所員として赴任し2年半がたちました。

事務所では、技術協力事業・無償資金協力事業・研修事業・広報の取りまとめ・防災セクター・通信事業・海上保安事業を担当しています。事業の詳細は下記関連リンクを参照してください。

在外事務所では、JICAが実施する事業の案件形成・進捗監理・フォローアップなどを行います。限りある予算を効果的に使うためには、各国の重点支援方針に従い戦略的な事業を形成する必要があります。そのためには、相手国政府の人たちと協議・交渉し、他ドナー(注1)などと意見交換しながら、日本らしい付加価値を提供できる事業を創り上げることが求められます。

防災分野では、防災関係者や援助窓口機関を定期的に訪問し、スリランカ開発の優先順位や現在の課題、スリランカ人が気付かない外部の視点での課題を常に考えつつ、この国に適した協力がどのようなものかを検討します。

政府関係者との意見交換や現場訪問の中で、自分の知識や経験も踏まえ、専門性のある関係者と「このような解決策があるのでは?」「こんなことをしたらどうだろう?」と議論し、専門的な助言をいただくなどの協力を得つつ、新しいプロジェクトの立ち上げに貢献します。プロジェクトの活動や成果は国の制度や政策に反映されるため、案件形成部分は職員の醍醐味でもあります。

また、実施中の案件監理も簡単ではありません。開発途上国では予定通りに物事が進まないのは当たり前のことです。過去の経験から、なるべくそのようなリスクを考慮した案件形成が行われていますが、政権が変わったり担当者が代わったりして情報が引き継がれないことも多く、事業が始まってから当初予定していなかった物事に直面したりとさまざまな課題に遭遇します。

普段は、実施中事業の予算が適正・適切に使われているか精算書類の確認や、物品を購入するための手続き、供与した機材が適切に使われているのかの確認、日本からの出張者の受入準備(訪問先省庁のアポイント取り、空港送迎やホテルの手配など)のほか、面会したスリランカ政府関係者との議事録をまとめながら情勢・情報の分析もします。

課題にぶつかると、スリランカのカウンターパート(政府機関、注2)と協議をしながら、なぜ課題が発生したのか、どういう解決策があり得るのかなどの話し合いをし、解決の糸口を探っていきます。この解決の糸口がなかなか見つかりません。

独自の文化や人間関係をとても重要視するなどのスリランカ人の特徴を把握し、言葉に表れない真相を探りつつ、上司や同僚にも助言を求めながら、過去の経験や自分の勘を頼りにアイディアを出しながら進めていく必要があります。スリランカ人は本音を言えない部分もあるので、関係者と信頼関係を築き上げ、腹を割った議論ができるようになるためにも、足繁くカウンターパートのもとに通って意見交換をするように努めています。

事務所での事務作業は多いですが、やはりJICAの中で最も事業実施の「現場」に近いため、意識的に外出してプロジェクトの現場や関係省庁に出向くことで、「現場で何が起こっているのか」を肌で感じるようにしています。「現場」訪問を通じ「顔の見える協力」を心掛けると共に、日本にいるJICA本部担当者、出張ベースで来る専門家などをはじめとしたさまざまな関係者に現場の状況を的確に伝え、それぞれの人が活躍する「現場」で質の高い協力が実現できるように努力・工夫しています。

(注1)援助を受ける国(開発途上国)に対し、援助する側(国、機関、NGO、企業、個人など)を総称して「ドナー」と呼ぶ。
(注2)国際協力の現場で技術移転や政策アドバイスなどの対象となる組織、または行政官や技術者のこと。



(関連リンク)

事業・プロジェクト

各国における取り組み:スリランカ

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デスクワークが仕事の基本。ただし、なるべく現場に出るようにしている

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専門家がカウンターパートを指導する資料を準備することもある

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専門家の現場視察に同行し現地の情報を理解することも重要


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カウンターパート機関が主催する国際会議などでJICAについて発信することも

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専門家と共にカウンターパートの課題をあぶりだす

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大臣などとの協議を通じマクロ的視点で課題も整理する


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