インターンシップ体験記「スリランカでの現地調査を通じた学び」

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私は、米国はメイン州のコルビーカレッジで経済学と数学を専攻しています。2016年の6月末から7月末にかけての1ヵ月間、JICAスリランカ事務所でインターンを経験しました。私のインターンシップの目的は、キリノッチ県で実施された「小規模畜産農家の家畜生産性向上プロジェクト」の成果を評価して、その結果を公表することで、得られた教訓を次のプロジェクトへと生かすことでした。

このプロジェクトは、2013年11月から2016年2月まで、NPOワールド・ビジョン・ジャパンによってキリノッチ県で実施されました。キリノッチ県の畜産農家が飼育する家畜の生産性を向上させ、かつ継続的に家畜生産物を得られることができるようになることが目標でした。

プロジェクトを通じて30人の人工授精師が育成され、彼らが畜産農家に技術サポートを提供するといったビジネスモデルが構築されました。

このプロジェクトの成果を定量的かつ質的に評価するため、私はキリノッチ県での現地調査を行い、その結果を基にしてサプライチェーン分析とPR資料の作成に取り組みました。

サプライチェーン分析では、乳製品の生産者から消費者までの流れを可視化することで、生産過程における問題点などを洗い出しました。PR資料については、プロジェクトの成果をまとめたプレスリリースとA4のパンフレットを作成しました。

今回、サプライチェーン分析とPR資料の作成に必要だった定量的分析は、統計庁や畜産・農村開発省が公表している統計データを基に行い、現地調査ではステークホルダーのプロジェクトに対する意見や批判など、質的な情報を集めました。

現地調査自体は5日間と短いものでしたが、キリノッチ県の家畜生産衛生局長やワールド・ビジョン・ランカの方々の協力などもあり、充実したものとなりました。特に、30人の人工授精師の半分以上の方から直接話を聞くことができ、プロジェクトの影響や問題点について学ぶことができました。また、畜産農家の方々の中には、牛乳生産量を大幅に増やすことができた方が多くいて、そのような成功例を実際に聞くことができたのは喜ばしいことでした。

【インターンシップを通じた学び】
・開発途上国で働くことの難しさ
今回のインターンシップが初めての開発途上国滞在でした。良い意味で、開発途上国で働くことの難しさを経験することができました。

例えば、定量的分析に必要な統計データなどは、そろっていないか信用性に欠けることが多く、実際にPR資料に使用した分析結果も、必要なデータの欠落ゆえに、お世辞にも質の高いものとは言えませんでした。

この経験を通じ、開発途上国において正確なデータを集める試みの重要性を再認識することができました。

・日本人以外の人と働くということ
海外の大学で学ぶ自分にとって、日本人以外の人と 働くことはたやすいことだと考えていました。しかし、大学という特殊な環境を離れ、現実世界を舞台に日本人以外の人と仕事をすることは、想像以上に難しいものでした。

日本的発想で「こう言えば伝わるだろう」と思っても、自分の考えや要望が伝わっていないことは多々あり、業務に支障をきたすこともありました。

異なる文化的背景を持つ人と円滑に仕事をするために、何が必要なのかについて考える良いきっかけとなりました。

1ヵ月という短い期間のインターンシップだったため、スリランカという国について、多くを知ることができないまま帰国となってしまいました。将来、機会があれば、またスリランカに戻ってきて、この国の経済発展に何らかの形で貢献できたらと強く思います。



(関連リンク)

スリランカ国キリノッチ県における小規模畜産農家の家畜生産性向上プロジェクト(草の根パートナー型)

【写真】

キリノッチ県の農家の方々

【写真】

人工授精で生まれた牛たち

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