不思議な島の物語 —法被とポロシャツ—(前編)

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海外に赴任するととかく、日本との比較をしてしまう。こちらの方が素晴らしい、いや日本の方が良い、といった具合に、である。

2016年7月より、インド洋に浮かぶスリランカの最大都市コロンボに投資庁(BOI: Board of Investment)の投資促進アドバイザーとして、赴任している。

紅茶、世界遺産、「サンフランシスコ講和会議」でのスリランカの当時の財務大臣の発言など、日本にとっては馴染みの国であるが、ここでは、やや小職の限られた経験をもとに日本との比較をしてみたい。

朝、街では、リヤカーと竹箒で落ち葉やごみを収集し、アパートでも共通の踊り場での床拭きやエレベーターの壁を磨く人など、なかなかの活気である。またこの人たちは決まってお揃いのユニフォームで仕事に励む。街の美化の観点では、主観的ながらコロンボに軍配を上げたい。道路補修が行き届いている点では東京だろうが、古いながらも掃除を毎日欠かさない点では綺麗な街である。

また毎日必要な食事について、全くの主観的であることを棚に上げながら申し上げたい。

まず一定の年を経ると食事が害になることもある。もちろん摂らなすぎはなおさら悪い。当然少量での規則正しい食事となる。その際、食事の種類は多い方がありがたい。日本も最近は世界中の食事を摂ることが可能となっている。

しかし、日常的に世界の食事や食材が並んでいるかといえば、未だ限られている。

当地では、島国の特徴とでもいえようか、ポルトガル、フランス、イタリアといった西欧料理、中華風、東南アジアのフード、そして隣国インドなど様々な料理や食材が街角に並び、市民権を得ている。またスリランカ独自のものは、野菜、果物、魚並びにシナモンなどの各種香辛料が彩を添える。

高齢層の社会参加では、当地では連日結婚披露宴やパーティーがホテルなどで開催される。この際、高齢のご夫婦が子どもや孫に敬われながら、その存在感や輝きを放っている。

また前述の清掃関係の人は総じて高齢者の方が多く、少なくとも社会から疎外感を味わうことはないばかりか、社会での重要な位置を保っていると言えよう。この高齢者を取り巻く社会環境も当国に一日の長あり。

さらに、街の真ん中にある名だたるホテルの中庭には、週末ともなると1メートルを優に超える水トカゲが日向ぼっこをきめこみ、その傍らをもう一つのドラゴン(オニヤンマ)が飛翔している。

また別のホテルには大木があり、そこには翼竜とばかりのオオコウモリが日中木につかまり、夜にはヤドカリのようなカタツムリが闊歩する光景をよく見かける。

当初、カラスにおびえていたものの、馴れは恐ろしいもので、今や前述の白亜紀やジュラ紀を彷彿させる生き物に比べたらなんとかわいいことか。それだけ都会の真ん中といえども自然が豊かな証拠である。人間もこれら生き物の一つとして共生しているに過ぎない。

(後編に続く)



(関連リンク)

不思議な島の物語—法被とポロシャツ—(後編)

【写真】

宗教心の薄い筆者が毎日手を合わせる何故か白い釈迦像、勤務先近く

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