炎天下の道路調査

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まぶしい日差しの中、ゴムの木の下で少し疲れた表情をした男が2人、円筒形の鉄塊に手を掛けて立っていた。鉄塊の重さは63kgほど。大人一人分の重さがある。鉄塊からは電気コードが延びており、そのつながる先はやぶの中に消えていた。

「1、2、3!」

掛け声とともに男たちが思い切り持ち上げると、鉄塊は腰の高さまで上昇。すぐに再び地面へ落下して、カーンという鋭い金属音を発した。「どう?」。男たちは、200mほど離れた電気コードのつながる先にいた私に大声で問いかけた。

何をやっているのかというと、新設道路トンネルのための地質調査である。ハンマーを使って地面に衝撃を与え、その震動が地中を伝わる速度を計測することで、岩盤の強度を測る。弾性波探査と呼ばれる手法である。ハンマーを操う「男たち」は現地の技術者だ。

「OK、今のシグナルは届いたみたい。じゃああと3回」。技術者たちは、一瞬喜びの表情を見せたが、すぐにやれやれという表情に戻り、再び鉄塊に手を掛けた。

日本ではハンマーではなく、ダイナマイトを使用して震動を起こすことが多いが、スリランカではハンマーを使った人力でやっている。これから中進国の仲間入りをしようというのに、彼らに古典的な力業のハンマー打撃しか経験がないというのはちょっと不釣り合いな感がする。

一方で、彼らが使う震動を検知・記録する機材自体は最新式で、私たちが日本で使っている機材よりも小型のものだった。正直、うらやましい。機材は最新だが経験が足りないというのは、まさに今成長している国のゆがみと言うべきであろうか。今回、私たちと一緒に実施した調査が彼らの経験となって現地の調査技術の向上に寄与できれば幸いである。

余談だが、今回使用したハンマー(鉄塊)の重さは、私の体重とほとんど一緒であった。しかし、持ってみるとこれが信じられないほど重い。私の力ではちょっと持ち上げたり、引きずったりするのが精一杯である。自らの重さに絶望する、そんな余計な副作用のある今回の調査であった。



(関連リンク)

各国における取り組み スリランカ

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ハンマーで起震している様子

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ハンマーで起震している様子

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弾性波探査機材


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屈強な技術者たち

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