私が大切にしていること−ウズベキスタンの世界遺産のある町で−
ウズベキスタンの首都タシケントより西へ約550キロメートルにあるブハラ州。旧市街はかつてシルクロードの中継地として栄え、中央アジア最古のイスラム建築やモスク、メドレセ(神学校)が残り、シーズンは観光客で賑わう世界遺産の町。歴史あるこの町の州立大学内にあるウズベキスタン日本人材開発センター・ブハラ分室が私の国際協力の舞台です。ここで小学生から大学生を中心とした青少年に、日本語や日本文化を教えることはもちろん、自らの国際交流経験を通じて青少年の健全な育成に携わる活動をしています。
ウズベキスタンにはおおらかな性格の人が多く、祭りと踊りが大好きで、「楽しく学ぶ」をモットーとする私は、この国の雰囲気にすぐ溶け込むことができました。授業にも工夫を凝らし、日本文化を取り入れたファッションショーやカラオケ大会、運動会、サッカー大会などのイベント(お祭り)を不定期に開催し、「楽しく学ぶ」を実践しています。学生たちにはとても好評で「先生、次はいつ、どんなお祭りをしますか?」などと頻繁に尋ねられます。みんな、祭りや踊り、そして日本が大好きです。
私には、活動の中で大切にしていることが二つあります。
一つ目は、「体験する」ということ。
日本人旅行者との交流、大阪の中学生との文通交流など、日本語を実際に使う機会を持つことを常に大切にしています。教室で問題を解くことももちろん重要ですが、実際に日本と交流することにより自分の学んだ日本語が通じれば、達成感を感じて「もっと頑張ろう!」と思えたり、うまく通じなくても「次は必ず相手に通じるように頑張ろう」と意欲がわいたり、必ず次につながる何かを得られると思います。
祭りにしても、初めは恥じらいや戸惑いもあった学生たちが、今では企画段階から、準備、当日の運営まで積極的に参加してくれるようになりました。仲間と協力し、共に一つのものを作り上げること。その過程や達成後の喜び、心地よい疲労感、さらに周囲からの評価が自信となり、成長につながると信じています。教員からの指示で動くのではなく、自らの体験をもとに、次の新たなイベントを自主的に計画するようになり、さらには経験者が、新たに加わった仲間にアドバイスをする姿も見られるようになりました。体験することが成長につながることを身をもって証明してくれており、私も大変やりがいをもって取り組めています。
そして、二つ目は「同僚との関係」です。
私の配属先には4人の同僚がいます。「ホウレンソウ」を合言葉に、どんなに小さなことも報告・連絡・相談を怠らず、信頼関係を築いてきました。同僚の理解や協力がなければ、今の私はなかったと言っても過言ではないほど、いつも親身になって協力してくれ、本当に感謝しています。時には衝突することもありますが、5人全員が強い信頼関係で結ばれ、協力し合いセンターを盛り上げています。今では同僚の家族からも本当の家族のようにかわいがってもらっています。ここで築き上げた関係は私の人生で大きな糧となり、帰国後、国際協力の舞台を日本に移しても大きな影響力を与えてくれるものと信じてやみません。この明るい雰囲気がセンターのカラーとして定着し、今後も発展していくことを願っています。
ここでの活動で必要不可欠なのは「人」です。これからも、支えてくれる同僚や学生のやさしさ、笑顔を原動力に、感謝の気持ちを忘れず、一つでも多くのことを伝えるとともに、自分自身の成長へと結びつけられるよう、1分1秒も無駄にすることなく活動していきたいです。

廊下をランウェイに見立て、学生がモデルを務めるファッションショー

毎回好評の浴衣の着付け教室(左から3人目が筆者)

書道教室。8月はみんなで「平和」について考えました

首都の病院のために学生が日本の絵本翻訳ボランティア

JICAボランティアとセンターの学生によるサッカー大会

センターに通う学生と同僚と私